こんにちは。リプロネクストメディア担当河合です。
今もなお、猛威を振るう新型コロナウイルス。新型コロナウイルス感染拡大は私たちにどんなことを問いかけているのでしょうか。今の暮らしや仕事に目を向け、もう一度その在り方を考え直す必要性を訴えかけているようにも思えます。
新潟に拠点を置くリプロネクストとして地域にどんな貢献ができるのだろうか。私たちも日々、そんなことを考えています。
その取り組みの一つとして、これからの新潟の姿を考え活動している人に取材し、その魅力を発信する活動を行っています。
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■”じぶんの”暮らしや仕事を彩る「センス」の磨き方【千葉仁さんインタビュー】
今回は、新潟総踊り祭実行委員会、アート・ミックス・ジャパン実行委員会総合ディレクターの岩上寛さんに取材を行いました。
今回の新型コロナウイルスで開催中止を余儀なくされた、数多くの文化・芸能に関する取り組み。その価値を今だからこそ、考えてみたい。そして、伝えていきたい。そんな想いで岩上さんのもとへ向かいました。
魂を込めて打ち込んでいる岩上さん。その想いを、私も魂を込めて文字にしています。お時間が許すようであれば、どうか、最後まで読んでいただけると嬉しいです。
目次
長野県出身、新潟市在住。約300団体、総勢14,000人の踊り子、数百名のボランティアが参加し、約35万人の観客を動員する「にいがた総おどり」の仕掛人の一人。伝統文化を身近にする「アート・ミックス・ジャパン」総合ディレクターとしても活躍している。
■岩上寛さんのFacebookはこちら
「心躍れば皆同じ」
日本最大級のオールジャンルのダンスフェスティバル
新潟が世界を目指す、新潟にしかない景色がここにある。
国籍も、年代も言葉の壁も価値観も、
そしてダンスのジャンルすら超える、踊りの祭典。
公式HPより引用
この祭典が誕生したのは2001年。「次世代を担う若者たち・子どもたちのために、感動ある世の中をつくる」をテーマに、開催を続けています。数人の若者たちの熱い想いによって生まれたこのお祭りは、小学生から高齢者まで、全国各地・世界各国で暮らす人々に愛されながら続き、発展してきました。
2020年の「にいがた総おどり」は、新型コロナウイルスの影響によって開催中止に。しかし、運営事務局・実行委員会・想いを受け取った多くの人々が新潟・日本・世界の宝ともいえるこのお祭りを何としても次代へ繋いでいくため、挑戦を続けています。
さて、前置きが長くなりましたが、インタビューの様子をお伝えしていこうと思います。岩上さんとは、はじめましてなのですが、なんだか「みんなのお兄ちゃん」という感じがしました。
お話をしていると、とても柔らかい雰囲気で、でも内側に熱いものがあって…。そんな姿に不思議とあこがれのような感情をいだきました。
そんな、岩上さんの想いやこれまでの道のりをお伝えしていきます!
■にいがた総おどり公式HPはこちら
河合:岩上さん、お会いできることを心待ちにしていました!本日はよろしくお願い致します!
さて、まずは、岩上さんのこれまでの歩みについてお聴きしたいと思います。まず、「にいがた総おどり」をどういった想いで、どういった経緯で実現させたのか、詳しく教えてください。
岩上さん:では、にいがた総おどりが掲げているテーマと、僕が歩んできた道のりを重ねつつお伝えしますね。
にいがた総おどりのテーマは、「次の世代に受け継ぐ心」。
僕が19歳、当時大学生だった時に立ち上げたお祭りなんです。19歳なんてまだまだ子ども。次の世代とは言っても、自分の子どももいません。
だから、このテーマは実を言うと最初は今ほどしっくりくるものではありませんでした。
しかし、お祭りの中で腹落ちしていったんです。
岩上さん:高校時代に遡るのですが…
────
岩上さん:僕は長野県出身で工業高校に通っていました。だから、高卒で働こうとしている友達が多くて、高校3年生になったくらいから自分の夢や、やりたいことを考える雰囲気があったんですね。それは本当に良かったと思っていて、僕は進学するつもりではあったのですが、その時期から「何をしたいのだろう」と考えることが多くなったんです。
河合:ゆくゆくは「働く」ことを見据えた上で進路を選択するという感覚があったんですね。
岩上さん:そうなんです。だけど、僕はそれを考えたときに、周りの人よりもやりたいことが決まっていないなって思って。
僕は野球部だったんですが、引退してから「とりあえず、いろいろやってみよう!」と考えて、でかい絵を描いてみたり、映画を撮ってみたり…。あとは、いろいろな高校をまたいで芸術祭をやったりしたんです。
そんな、いろんな可能性や価値観を持った人たちと一緒に何かを創り上げるというプロセスが本当に楽しかった。いろいろ行動しているうちに、「これが仕事にならないかな?」と考えるようになり、一冊の本と出会いました。それは『イベントプロデューサーになるには』という本。
■イベントプロデューサーになるには[とりはた ともこ]著 Amazonより
高校時代の様々なチャレンジと、一冊の本との出会いによって、僕はイベントプロデューサーという仕事を本気で志しました。
そうこうして、新潟大学に進学したのですが、学生時代もイベントプロデューサーになるため、本当に様々な企画・イベントに携わりました。いろいろなことをやっているうちに、当時、町おこしの活動をしていた能登剛史さん(※現:にいがた総おどり祭 総合プロデューサー)と出会い、にいがた総おどりの立ち上げに関わり、お祭りをつくり始めたんです。
河合:大学時代も、「働く」ということを見据えて活動し、そこで総おどりと出会ったのですね。
岩上さん:そうですね。いつの間にか、イベントプロデューサーになるためにいろんなことをやっていた。それは、その経験を活かして将来、自分の仕事にするため。正直なところ最初の動機はそうゆうところなんです。
でも、お祭りをつくるようになってから、考えは変わっていきました。
河合:そのあたり、詳しく教えてください!
岩上さん:最初の話とつながってきますが、まさに能登さんは、「次の世代に受け継ぐ心」をテーマに活動していたんです。一緒にお祭りをつくっていくうちに、「どうしたらイベントプロデューサーになれるのか」よりも「次の世代に残したいものって何だろう」と考えるように。そして、「これだ!」と思うものに出会ったんです。
───
僕たちは、高知県へ、あるグループの踊りを見に行きました。その踊りに、「踊りの力」を見ました。
「こんな生き方をしたいんだ!」「こんな想いを伝えたいんだ!」と、涙を流しながら、全身全霊で表現する踊り子たち。そんな景色、姿を見て、想いを感じて、いてもたってもいられない観客。
「いっしょに踊りましょう!」の一言で、いつしか、子どもも、車いすの人も、外国人も、赤ちゃんを抱えた人も…、その場にいた誰もが必死で踊って。全部出し切って。笑顔で ─
河合:……。
岩上さん:心を揺さぶられました。
岩上さん:それと同時に、「次の世代に残したい景色」が頭の中で一気に広がっていったんです。
誰かがハートを開いて表現して、それを見た人が感動して自分らしく踊って、それが伝播していって…、世界中に広がって。
国籍・人種・年齢・性別・立場・価値観…、あらゆる違いを超えて、そこに存在する一人として、みんなが同じところでこんな風に踊れたら。彼らは何を夢見て、どういう世界をつくっていくのだろう─。
それを成し遂げたい!その景色を見たい!
そして、次の世代へ繋いでいきたい!
そんな風に思ったんです。
河合:自分もそんな景色を想像して、なんだか身震いがしてきました。本当に踊りの力で世界は変わるかもしれない…と。
にいがた総おどりを立ち上げてからの道のりや、大切にしてきた想いはどんなものなのですか?
岩上さん:にいがた総おどりは、様々な人が様々な関わり方で、自分らしく参加しています。いろいろなジャンルの踊り子たち、当日の運営を力強く支えるボランティアの皆さん、祭りの実現のため寄付をしてくださった方々、全国各地から足を運んでくれる観客の方々…、本当に多くの方々の想い、協力によって、素晴らしい景色が生まれています。
その象徴的な景色は、見ていたお客さんまでもが一緒になって踊る「総踊り」かなと思います。あらゆる人が関わって、あらゆる人の想いが交わって、生まれる一つの景色。それを共有できれば、これまで共感しえなかった人でさえも、共感し合えるようになるかもしれない。その場にいる人達の心が繋がり合うことで、世界を変える何かの原動力になるかもしれない。
だから僕は、関わってくれるすべての人たちが、にいがた総おどりを通して、何か自分が信じるものを、自分らしく表現して、誰かに手渡してもらえたらいいなと願っています。
河合:本当に様々な方々が、それぞれの想いを胸に関わっていらっしゃるんですね!それらが繋がる場所としての「にいがた総おどり」…。本当に素敵なお祭りだと感じます。
ちなみに、本当に沢山の方々が関わるこのにいがた総おどりは、どんなふうに運営されてきたのですか?
岩上さん:お祭りを有志で立ち上げてからは、完全ボランティアでした。でも、片手間にはできない。年間を通して運営を担う事務局が必要でした。
そんなとき、能登さんは会社を辞め、事務所を構えると言ったのです。僕は迷わず大学を休学し、一緒に全力投球することに。そして、お祭りを委託運営する「株式会社サイト」を立ち上げました。
河合:なるほど!委託運営する会社を立ち上げられたのですね!
岩上さん:会社の理念は、「7世代先の子どもたちのために」。インディアンの思想(『虹の戦士』の教え)に影響を受けています。
先ほど僕は、にいがた総おどりのテーマである「次の世代に受け継ぐ心」が、お祭りを通して腹落ちしていったと言いました。僕の想いが後輩に伝わり、後輩が一生懸命踊っている。そして、それが次の後輩に伝わって…。その姿、そのつながりが、本当にいとおしく思ったんです。
例えば、自分の子どもじゃない子どもの笑い声・泣き声でさえ、いとおしく感じませんか。これって国境を越えると思うんです。
あとからやってくる子たち、後から追いかけてくる子たち。その子たちが一生懸命に生きているさまをいとおしく思える感覚って、世界中が共感できるものなんじゃないかな。
一人ひとり、なにか自分が信じているものを表現し、誰かに手渡す。そして、その想いを次の世代、その次の世代へとつなげていく。
それが、にいがた総おどりなんです。
河合:にいがた総おどりに込められた想い、実現したい未来についてお聴きして、本当に感動しました!
でも、今回の新型コロナウイルス、今年の開催は中止という判断を行ったと思います。そのあたり、どんな経緯があったのか、そしてそこに対してどんなアクションを起こしているのか、お聴きできたらと思います。
岩上さん:正直なところ、影響はもろ直撃しています。にいがた総おどりは3月頭に中止を発表しました。にいがた総おどりだけでなく、事務局としての年間活動(講演会など)も中止。そもそも人と会うことができない状況でこれを続けていくのは、困難を極めます。
そこで、事務局の一部の閉鎖し、必要最低限の人数で事務局機能を維持するためテレワークを行っていました。総おどりを支える母体自体が無くなってしまうと、総おどりはもちろん存続できません。存続の危機にあるというのが率直ないまの状況です。
でも、何もしないわけにはいきません。明日を生き抜くため、お祭りを残していくために何ができるだろうと考え試行錯誤する日々。それでも、まずは命や安全が優先です。アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感じですね。
また、これまでにいがた総おどりに関わってくれていた人の中で、50名ほどが手を挙げ、実行委員会を組み、次年度のお祭りづくり・寄付集めを自走して行ってくれています。みんな自分の仕事や家庭がある中で、定期的にミーティングを行い、どうにかしてこのお祭りを残していこうと動いています。
■最新の動きは、Facebookにてチェック!「にいがた総おどりFacebookページ」
一人ひとりが、このお祭りは自分たちのお祭りだと思ってくれていると思うと、本当に嬉しいものがありますね。
▶【始動】にいがた総おどり祭、復活に向けて…
実行委員会中心に行っている、アクションの一つをここでご紹介させていただきます。実は、この苦難を乗り越えお祭りを次代に繋いでいくためにクラウドファンディングに挑戦しています。
新潟の宝ともいえるこのお祭りを、何とか存続させるため、これを読んでくださった皆様には、ぜひ、クラウドファンディングのページも見ていただけますと幸いです。そして、何卒、ご支援の程よろしくお願い致します。
■クラウドファンディングページはこちら:【にいがた総おどり祭】存続のために、みなさまの力を貸してください!
私たちは2002年より18年間、「にいがた総おどり祭」という踊りの祭典を開催してきました。
市民の手でゼロから立ち上げ、オールジャンルのダンスフェスティバルとしては日本最大級に成長したお祭りです。今では地域に根付き、踊りを踊る方に限らず、老若男女が感動を分かち合う新潟の秋の風物詩となりました。
しかし、新型コロナウィルスの影響により、2020年開催はやむなく中止を決断しました。
さらには、踊りの講習やイベント出演など、お祭りの開催資金を支えていた各種活動も、すべて休止せざるをえず、現在、実行委員会事務局は無期限の閉鎖に追い込まれています。
その結果、今後新型コロナウィルスが収束したとしても、資金的な問題から、2021年以降お祭りを再開できる目処がたっていません。
今、「にいがた総おどり祭」はかつてない存亡の危機にあります。
そこで、何とか皆様のご支援を賜りたく、本プロジェクトを立ち上げました。
この未曽有の苦難を乗り越え、必ずや「にいがた総おどり祭」を復活させるべく、皆様の力を貸していただけないでしょうか。
クラウドファンディングページより引用
ちなみに、心ばかりではありますが、私も支援させていただきました。選んだリターンは、【お祭り復活当事者/限定シリコンリストバンド】!
このリストバンドを付け、お祭りに参加できる日を心待ちにしています!
河合:本当にいろいろとお聞かせいただいて、ありがとうございました!最後に何か、伝えたいこととか、言い残したことなどはありますか?
岩上さん:実は、新型コロナウイルスによる開催中止・事務局の一部閉鎖を決定し、これからどうしていこうかと考えるための合宿をしたんです。いろいろと話し合ったとき、やっぱり僕たちが大切にしたいのは「7世代先のために」という価値観だなって再認識したんです。
そして、僕たちが残していきたいものの、根っこにあるものって「感動」なんです。日々の小さなことに感動するということが、人々が幸せに生きるために大切な事だと思うんです。感動って、「感じて動く」と書きますよね。僕らの活動は、人々が何かを「感じる」ことや、何かを「表現する」こと、そしてそれが繋がっていくこと大切にしています。
こんな状況ではありますが、迷わず、「7世代先のため」に、今後も活動を加速させていかなければならないなと思っています!
河合:岩上さん、今日はありがとうございました!クラウドファンディングへの挑戦、応援しています! そして、次回の開催を楽しみにしています!
いかがだったでしょうか。
取材中、岩上さんの熱いハートに、終始心を動かされていました。まさに、感動の体験でした。
いまある、地域の魅力的な文化をこれからの世代に残していくということは、今を生きる私たちにしかできないことなんだなと、考えさせられました。
自分の身の回りにあるものに目を向け、それを精一杯感じていく。そうして受け取った何かを、精一杯表現し、誰かに手渡す。
そんな循環を、まずは身の周りで生み出すことができたらいいなと感じました。
まだまだ書き足りないことばかりですが、今回の記事はここまで。
ここまで読んで下さり、ありがとうございました!
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