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生活の中に生の舞台を感じる喜びを【-居酒屋えのもと- おしゃべり記録 vol.3】

生活の中に生の舞台を感じる喜びを【-居酒屋えのもと- おしゃべり記録 vol.3】

こんにちは。リプロネクストメディア担当の河合です。

 

【-居酒屋えのもと- おしゃべり記録 -】ということで、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館にお邪魔し、音楽企画課の榎本広樹さんとお話させていただいた模様を連載で紹介していましたが、いよいよ今回が最後。

 

 

りゅーとぴあのおせっかいな、榎本さん。【-居酒屋えのもと- おしゃべり記録 vol.1】

すべての偶然が今に繋がる、榎本さんの軌跡【-居酒屋えのもと- おしゃべり記録 vol.2】

 

「芸術が持っている力とは?」「榎本さんが息もできないほど心を動かされた舞台とは?」「りゅーとぴあが大切にしている心とは?」…。
いよいよ、榎本さんの「芸術」に対する価値観や想いに迫っていきます!

 

それでは、– 居酒屋えのもと第3部 – 開演です!!

 

「なぜ、世の中に芸術は存在しているのだろうか?」

りゅーとぴあロビー

▲りゅーとぴあのロビー 出典:りゅーとぴあHP

えのもと

「舞台に携わる仕事をしたい」という学生に対して、問いかけることがあります。

かわい

どんなことでしょう?

えのもと

「なぜ、世の中に芸術は存在しているのだろうか」「なぜ芸術は人を感動させるのだろうか」という問いです。

こういう問いに対して、それぞれが何かしらの考えがあると文化ホールの仕事をしやすいのではないかなと、私は思うからです。

かわい

とても…、本質的な問いですね。榎本さん自身はどうお考えですか?

えのもと

私は、こう思います。

 

人は、基本的には孤独な存在で、人とわかり合えない。
でも、芸術はその孤独の壁を軽々と飛び越えていくことがあります。人の心が、ある日ある瞬間に繋がることがある。そうして人は孤独ではなくなり、人が生きていくにあたって向き合わなければならない、困難や苦しさを乗り越えていく力が生まれてくる。

 

だから、世の中に芸術は存在しているし、必要とされているのだと思います。

かわい

深すぎて、なんとなくわかるような、わからないような…。

榎本さんのそういった価値観を形成していった、印象的な舞台はありますか?

えのもと

かれこれ、30年くらい前のお話ですが…。

息もできないほど心を動かされた舞台

昭和女子大学人見記念講堂

出典:昭和女子大学人見記念講堂HP

えのもと

22歳の頃、昭和女子大学 人見記念講堂で小澤征爾指揮の新日本フィルハーモニー交響楽団の公演に行きました。あの演奏を思い出すと、今でもくるぶしから鳥肌が立ってきます。

■新日本フィルハーモニー交響楽団のHPはこちら

 

かわい

なぜ、それほど印象に残っているのですか?

えのもと

その公演のメインは、チャイコフスキーの交響曲第6番「悲愴」。

4つの楽章があるのですが、第3楽章が派手に終わるんです。次の楽章に移る間は拍手をしないのがマナーなのですが、私を含め何人もの人が思わず拍手をしてしまうくらい、あまりにも素晴らしかった。

チャイコフスキー

▲チャイコフスキー 出典:ontomo

かわい

…。(うなずく河合)

えのもと

小澤征爾さんは、すぐに第4楽章に入りその拍手を打ち消しました。

10分かからないくらいの楽章ですが、息をすることすら忘れるくらい聴き入っていましたね。

 

「悲愴」の最後はものすごく小さな音で終わります。楽譜にはP(弱く)が幾つも重なっているほど。

 

ついに最後の音が聞こえなくなります。

 

指揮者の小澤征爾さんは指揮棒を上げたまま動かない。オーケストラも聴衆も。耳がキーンとなるような沈黙が続きます。

かわい

…。(ゴクリと唾を飲む河合)

えのもと

服が微かにこすれる音すら聞こえてきません。

 

やがて、ホールの誰もがいてもたってもいられなくなって、どこからか誰かの叫び声と拍手の音が鳴り響く。その拍子に一気にホール全体が大きな歓声と拍手の音に包まれます。

 

で、ずーっと長い拍手が続いて、何度もカーテンコールが合って、ようやく拍手が終わり、ステージには誰もいなくなる。

 

私は、しばらく放心状態となり席に座っていました。

帰ろうと思い立ち上がったら、驚くことにまだ半分くらいの人がホールに残っていたのです。

 

みんな泣いていて立てないんです。

かわい

すごい…。

えのもと

演奏している人たちとお客さんを隔てている壁がすべて取り払われて、なにかひとつのものにみんなが溶けあうような感覚を覚えました。この瞬間、どんな人間も陥る絶対的「孤独」という壁をみんなが越えていたんだと思います。

 

▼こんなブログも発見しました。恐らく同じ公演ではないでしょうか。

新日本フィルといえば、高校時代、昭和女子大人見記念講堂の前から二列目で聴いた小沢征爾指揮 新日本フィルのドボルザーク「新世界より」とチャイコ「悲愴」、あれはすごかった。指揮棒を振りながらウーンと唸る声が聞こえてくるんだもの。

出典:ameblo ■サイトウ・キネン

 

かわい

「溶ける」という表現、素敵ですね。繋がるというより、溶け合う。共感するというよりも、ともに在るというようなニュアンスが感じられます。

えのもと

コンサートを企画する側として、そういう音楽体験をしてほしいという想いでいつも作っています。

 

ただ、お客様にはこれほどの音楽体験を”いつも”してほしいわけではありません。もっとライトに、生の舞台を見る喜びが普段の生活の中に組み込まれているライフスタイルを提案していきたいです。

くらしの中に生の舞台を見る喜びを。

かわい

生の舞台を見る喜びが普段の生活の中に組み込まれているライフスタイルを提案していきたいという部分、もう少し詳しく教えてください!

 

舞台裏

舞台裏の壁には、アーティストのサインがびっしり!!

えのもと

私は音楽を学問的・体系的に学んだことはありません。だけど、どこかの時点でヨーロッパクラシック音楽を好きになって、何度も何度も演奏を聴いてきました。
基本的に自分が聴いてよかったものを、「こんなに良いものがあるからみんなにも知ってほしい!」っていう想いでみなさんにおすすめしています。

かわい

なんだか、本当に良いと思ったものを届けたいという想いが伝わってきます。

 

whats niigata

えのもと

新潟は本当に恵まれた環境で、通勤に時間がかからず、食が美味しくて、海・山があって、空が広くて…。そこに「生の舞台を見る喜び」が加わったら、この上なく幸せだと思うんです。新潟に住んでいる人にはそういうライフスタイルを生きられる可能性がある。
だから、ぜひ新潟市民のみなさまに、生の舞台にいっぱい親しんでもらいたいのです。

強要するわけではなく、あくまでもおすすめ。

 

自分でもおせっかいだと思うんですけどね笑

かわい

そういうおせっかい、素敵です!

さいごに

これにてインタビュー終了!

そのあと、せっかくなのでメインホールも見せていただきました!360度のパノラマ写真も撮影してきたので、りゅーとぴあのホールの雰囲気を味わってみてください。

※タップすると画像を動かせます

 

▲ステージ上の360度画像:普段は登れないステージ上からの景色は圧巻でした!

 

▲客席からの360度画像 :立派なパイプオルガンが目の前に見えます!

 

 

最後に、榎本さんからのメッセージをご紹介します。

榎本さん

生の音楽を聴くということは生きている間だけの特別な喜びです。豊かな音楽体験をぜひ生活の中で楽しんでお過ごしください。そして、もしよかったら、りゅーとぴあにも足を運んでいただけたら嬉しいです。

– 榎本 広樹 さん

 

これにて「- 居酒屋えのもと- おしゃべり記録」完結です。
取材中、お話を聴いている中で私も深く考えさせられました。「豊かなくらしとは?」「これまで関わってくれていた人たちが、自分に伝えたかった事とは?」「自分が果たすべき役割とは?」…。

 

一つひとつの風景や景色を見て、目一杯感じる。

様々な経験を重ね、考え、行動していく。

 

そんなことを、これからも大切にしていきたいなと感じました。

 

 

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河合
河合
メディア
2019入社。大学進学を機に新潟へ。教育系NPO法人で働きながら、リプロネクストでメディア担当として主にオウンドメディアの記事執筆を行う。お酒が好き&料理男子の一面も。