メタバース
これから導入するならこの企業!メタバースプラットフォーム運営会社6社と活用事例16選

近年、大きな盛り上がりを見せ続ける「メタバース」にはどのような魅力が秘められているのでしょうか。
本記事では、「メタバースに興味があるけれど、どんな活用例や企業があるのか知りたい」といった方々に向けて、現在メタバース業界で注目を集めている企業や、具体的な活用事例についてお伝えします。
メタバースがどのように私たちの生活やビジネスに影響を与えているのかを理解していただければと思います。
1.メタバースとは
メタバースとは、インターネット上に構築される3次元の仮想空間で、アバターを用いてユーザー同士が交流したり、イベントを開催したりできる世界を指します。近年、VR/AR技術の進化、リモートワークやオンラインイベントの需要の高まり、ソーシャル体験への期待などにより、企業や自治体での導入が急速に広がっています。
例として、ショッピング、展示会、教育、さらには相談窓口など、物理的制約を超えた多様な用途で利用されています。
2.メタバースが企業・自治体にもたらすメリット
アクセスの拡大
インターネット環境さえあれば誰でも参加でき、地理的・時間的な制約を超えて全国・世界中からアクセスが可能。情報発信や交流の幅を大きく広げられます。
コスト削減と効率化
リアル会場の準備や移動費、宿泊費などのコストを削減。開催準備や運営にかかる時間や人手も効率化でき、予算やスケジュールの最適化に貢献します。
新しいコミュニケーションとブランド体験
3D空間やアバターによる没入体験を通じて、リアルにはない印象的な体験を提供可能。ブランド価値の向上やユーザーとのエンゲージメント強化につながります。
社会課題への対応
地域格差や教育機会の不均等、ひきこもり支援など、物理的・心理的な障壁を超えた参加を可能にすることで、社会課題の解決にも貢献できます。
3.主なメタバースプラットフォーム運営会社6選
ここからは、メタバースプラットフォームを運営している会社と、その事例をご紹介していきます。
- 株式会社リプロネクスト
- クラスター株式会社
- 株式会社HIKKY
- monoAI technology 株式会社
- Roblox Corporation
- VRChat, Inc.
3-1.株式会社リプロネクスト(Roomiq)

リプロネクストが提供する「Roomiq(ルーミック)」は、ブラウザから簡単にアクセスできる国産メタバースプラットフォームです。アプリのインストールや専門的な機材を必要とせず、URLを共有するだけで誰でも参加可能な手軽さが特長で、イベントや展示会、ライブ配信、企業プロモーション、自治体の広報活動など、さまざまな場面で活用されています。
2025年7月からは、NTTグループが開発・提供していたメタバース「DOOR」の運営をリプロネクストが正式に引き継ぎ、「Roomiq」として再始動。これにより、累計300万人以上のユーザー、26万以上の公開空間を有する大規模なメタバースプラットフォームへと進化しました。
特に日本国内においては、自治体や教育機関での導入実績が豊富で、行政の広報・広聴活動や、地域課題の解決、非対面型の相談窓口、教育現場での遠隔授業など、公共性の高い用途で多くの信頼を集めています。また、地方創生やひきこもり支援といった社会的課題への対応にも活用されており、実践的かつ持続可能なメタバース活用モデルを提案しています。
3-2.クラスター株式会社
クラスター株式会社が展開する「cluster」は、日本国内で高い認知度を誇るメタバースプラットフォームです。PCやスマートフォン、VRデバイスなど幅広いデバイスに対応しており、ユーザーのアクセスのしやすさが特徴です。これまでに「バーチャル渋谷」などの大型イベントを開催し、企業や自治体とのコラボレーション実績も豊富です。さらに、音楽ライブや展示会、発表会などの実施環境も整備されており、法人イベントの開催プラットフォームとしても注目されています。
3-3.株式会社HIKKY

出典:株式会社HIKKY
株式会社HIKKYは、世界最大級のバーチャルイベント「バーチャルマーケット(Vket)」を企画・運営している企業です。イベントの制作だけでなく、メタバース参入支援のコンサルティングや、クラウド型の開発エンジン「Vket Cloud」の提供も行っており、企業や自治体のメタバース活用を幅広く支援しています。独自のワールド構築や3Dモデル開発、プロモーション設計まで一貫して対応できる体制を持ち、国内外での事例も増加しています。
3-4.monoAI technology 株式会社

monoAI technologyは、「XR CLOUD」などを展開するメタバース系企業です。もともとゲーム開発の技術を強みとしており、クリエイター向けの表現力豊かな仮想空間を実現しています。上場企業であることから、信頼性や安定性の高さにも定評があり、企業や団体からの導入相談が増加しています。さらに、AIやXR技術の活用にも積極的で、法人向けにカスタマイズ可能なバーチャル空間の構築支援も行っています。
3-5.Roblox Corporation

出典:Roblox
Robloxはアメリカ発の世界的なメタバースプラットフォームで、子どもから大人まで幅広い層に利用されています。ユーザー自身がゲームや仮想空間を作成・共有できる「ユーザー生成コンテンツ(UGC)」の仕組みが大きな特徴で、教育現場でのプログラミング学習ツールとしても注目されています。世界中の開発者が収益を得ながらコンテンツを提供できる仕組みも整っており、グローバルなエコシステムが構築されています。
3-6.VRChat, Inc.

出典:VRchat
VRChatは、VR空間でのソーシャル交流に特化したプラットフォームで、ユーザーが自らワールドを作成し、公開・共有できる自由度の高さが特徴です。アバターによるコミュニケーションが活発で、コミュニティ形成に強みがあり、イベントやサロン、ファン同士の交流などに活用されています。オープン性の高さから個人クリエイターによる創作も活発で、エンタメ・教育・文化など多様なジャンルの利用が広がっています。
4.自治体・企業のメタバース活用事例16選
4-1.山梨県甲府市:約110社が参加したメタバース合同企業説明会

甲府市が率先して、県央ネットやまなし圏域の若者と地域企業とのマッチングを目的に、メタバース空間を使った合同企業説明会を開催しています。交通費や移動の負荷を軽減し、遠方在住者でも参加しやすくするとともに、参加者はアバターで企業ブースを訪れたり、匿名性を確保して気軽にコミュニケーションを取れる構成です。企業ブースだけでなく、フリーガイダンス方式の「就活セミナー」や「先輩社員就活体験セッション」といった交流型の場も設けられ、学生や一般求職者が本音で質問したり、リアルな職場イメージをつかむ機会が提供されています。
出展企業は109社、参加者は約300名、アクセス数は14,000件を超えるなど、規模感も大きく、発信力・参加者の利便性双方を重視した施策です。甲府市はこのような取り組みを通じて、若者の地元就職を促進し、地域の人材流出を抑えることを狙っています。今後もこの形式を継続・改善し、より広く柔軟に活用できるよう展望しています。
山梨県甲府市|令和6年度 メタバースを活用した合同企業説明会 事例紹介はこちら
4-2.静岡県:Metaverse SHIZUOKA

静岡県は、県の広聴・広報活動の新たな拠点として「Metaverse SHIZUOKA」を整備しています。丸ごと県内の町並みを3次元点群データでスキャンし、県の自然・地域風景・県政情報などを再現。常設空間として24時間アクセス可能で、意見交換会やタウンミーティング、知事への広聴などがオンラインでできる仕組みを備えています。
仮想空間内には、「FUJINOKUNI Entrance(富士の国エントランス)」を始め、伊豆半島、県東部・中部・西部それぞれの広報ルーム、そして自然を感じられる絶景スポットなど、全部で8エリアが設けられています。また、「ふじのくに広場」では県政情報掲示や県外・海外への情報発信が行われ、広報コンクールの入賞作品展示ルームも設置されています。2024年11月には、100名以上の参加が可能なイベント用空間を拡張し、規模の大きいオンライン集会にも対応できるようにしています。
この取組みは、物理的・時間的な制約により従来の場への参加が難しかった県民にも発言の機会を提供するとともに、地域のPR・移住促進など広報活動の幅を拡げることを狙いとしています。
静岡県|広聴・広報活動に活用するメタバース空間構築 事例はこちら
4-3.宮崎県|伝統芸能「神楽」を伝えるメタバース・XRコンテンツ

宮崎県は、県内の伝説や神話に深く結びつく文化資源である「神楽」の保存・発信を目的として、「バーチャル神楽」というコンテンツを展開しています。古事記・日本書紀に描かれる日向神話の舞台である宮崎県には、神話ゆかりの地や伝承が多く存在しますが、舞手の高齢化や後継者の減少などにより、その継承が課題となっています。その課題に応えるべく、県は神楽の魅力を国内外に広く伝え、次世代への継承を促すデジタル施策を取り入れています。
その中で「バーチャル神楽」は複数のコンテンツで構成されています。例えば、採物・楽器の基礎知識を紹介する“メタバース神楽”空間、舞手目線・観客目線などで主要な神楽演目をVR映像で体験する「神楽VR/神話と名所を巡る旅VR」、神楽の面をモチーフにしたARみくじ、若手継承者のインタビュー動画などが含まれています。ユーザーはアバターで仮想空間を歩き回り、神楽の道具の細部や舞台背景を360度体験可能です。
この取り組みは、観光誘客や文化・神話への関心を喚起すること、そして将来的なユネスコ無形文化遺産登録の機運を高めることも視野に入れています。また、大阪・関西万博での展示も予定されており、多言語対応VR映像を通じて県外・海外にも発信する戦略を取っています。宮崎県は、「認知」「体験」「継承」の三段階を軸とし、神楽を新しい形で未来に繋げる取り組みを進めています。
宮崎県|伝統芸能「神楽」を伝えるメタバース・XRコンテンツ 事例はこちら
4-4.ひょうごフィールドパビリオン(万博)+兵庫県デジタル戦略課

兵庫県は、大阪・関西万博の関連プロジェクトとして「ひょうごフィールドパビリオン」を展開しています。県の自然・文化・技術など多様な魅力を体験型・参加型で発信する場として設計されています。展示・ワークショップ・体験イベントといったリアルのパビリオン展示に加え、VR/仮想空間などデジタルコンテンツを組み合わせ、遠方の人でも兵庫の特色を五感で感じられるような構成を狙っています。
この取り組みの目的は、兵庫県の観光振興や文化交流の強化、人々の県への関心・愛着を深めること、そして万博という国際的な舞台を活用して県外・国外への情報発信力を拡大することです。将来的にはテーマウィークや地域ごとのイベントと連動し、県内各地域との連携を強めることで、継続的な文化・観光プロモーションの拠点として機能させていく意図が見られます。
4-5.岩手県:フードショーinメタバース

岩手県は、自県産の農林水産物を仮想空間で発信するオンライン商談イベント「黄金の國、いわて。フードショー in メタバース」を開催しています。生産者は仮想ブースを構え、野菜・果物・米・加工品などを写真や映像で紹介し、来場者(バイヤー)はアバターを使って生産背景やこだわりを直接聞くことができます。参加は無料、ブラウザ経由・スマートフォン・PCでアクセスできる形式です。プラットフォームには「Roomiq(旧DOOR)」を使用し、操作説明会やサンプル空間の提供など、参加しやすい配慮もされています。
この取り組みの目的は、「岩手の食」の魅力を県外のバイヤーなどに伝えることによって販路を広げること、並びに商談の新しいスタイルを模索することです。物理的な展示会ではなく、時間や移動の制約を軽減しながら、深く懇切な交流ができる場を設けることを狙いとしています。今後もこうしたメタバースでの商談イベントを継続・発展させることで、地域農水産業のブランド力向上・拡販につなげていくことが期待されています。
岩手県:フードショーinメタバース 事例はこちら
4-6.山梨県:ひきこもり支援メタバース「ふらとぴあ」

山梨県は、「ここちよくつながるみんなの居場所」をコンセプトに、ひきこもり・孤独感を抱える人々やその家族を対象とした仮想空間「メタバースふらとぴあ」を運営しています。プラットフォームには旧DOOR(現Roomiq)を使い、PC・スマホからアバターで入場、ニックネームでの参加が可能です。山梨県内在住でひきこもりがちな方、生きづらさを感じている方、家族の悩みを抱える方などが対象です。
この空間では、ひきこもり支援情報の展示パネル、定期的な交流イベント(チャット・見学・ミニゲーム等)、個別相談窓口、作品展示(写真・絵など)などが用意されています。予約方式で参加でき、家から「ふらっとのぞいてみる」といった気軽さが特徴です。利用ルールも明確で、個人情報保護や相互尊重など、安心して参加できる配慮がされています。
この取組みの目的は、物理的・心理的なハードルを下げ、外出が難しい人でもつながれる居場所を提供することです。居心地の良さを重視し、日常から一歩離れて、リラックスしながら交流や相談ができる仕組みとして設計されています。
4-7.山梨県甲府市|全国初!メタバースを活用したひきこもり相談窓口


山梨県甲府市は、ひきこもり支援の新しい選択肢として、メタバース空間での相談窓口を開設しています。相談者はアバターを用いて参加でき、特別な機器を必要とせず、パソコンやスマートフォンからアクセス可能な設計です。
この取り組みには2つの空間があります。1つは「心のよりどころ空間」で、相談支援情報の掲示や交流案内など、誰でも自由に入れる共有スペース。もう1つは「森の相談ルーム」という個別相談専用の空間で、精神保健福祉士など専門家との相談が完全予約制で行われます。両者とも匿名性を保ち、チャット・音声での会話データは保管しない仕組みにするなど、プライバシーの配慮がされています。
なぜこの仕組みをつくったかというと、「相談したくても相談相手がいない」「うまく伝えられない」などの理由で従来の相談方法では敷居が高い人が多いという課題を受け、より気軽に相談できる環境をつくるためです。メタバースという仮想空間により、時間・場所・心理的距離のハードルを低くすることを狙っています。
この相談窓口は、ひきこもり状態の甲府市民を対象にしており、今後は当事者同士の交流の場づくりなども含めて、空間の活用を拡充していく見込みです。
山梨県甲府市|全国初!メタバースを活用したひきこもり相談窓口 事例ページはこちら
4-8.大阪府河内長野市|メタバースを活用した移住定住促進

大阪府河内長野市は、市制施行70周年の記念式典向けに、メタバース空間「つながる河内長野メタバース」を整備しています。これは、市が新しく建設を予定するサッカースタジアム一体型の公園(南花台中央公園整備事業、仮称)をモデルとして、2つの空間 ― 「スタジアム」と「にぎわい広場」 ― を構築。設計段階の3DCGやBIMモデルを活用し、将来の施設イメージを具体的に可視化しています。
コンテンツは市民参加型になっていて、フォトメッセージ・動画メッセージ・「はたちから」のメッセージなどを募集。また、愛着を感じてもらう工夫として、公式キャラクター「モックル」を金銀のコスチュームで隠しておき、これを探す仕掛けを入れたり、ジャンプで気球まで登れる階段など遊び要素も盛り込まれています。
この取り組みの目的は、市制70周年という節目に、未来の市の姿を市民と共有し、式典をより記憶に残るものにすること。メタバースを通じて、時間・場所に関わらず市民が参加できる機会を提供することで、地域への愛着や期待感を醸成する狙いがあります。
大阪府河内長野市|メタバース空間による記念式典の事例はこちら
4-9.土浦市メタバース空間「バーチャルつちうら」

土浦市は、「自転車のまち土浦」の魅力発信と来訪促進を目的に、メタバース空間「バーチャルつちうら」を整備しています。空間内には「りんりんロード」のサイクリング疑似体験(3D/360度動画)、市政情報・名産品の紹介・販売、展示会やセミナー開催などのコンテンツを設けています。
この取り組みは、地域観光資源をデジタルで可視化することで、物理的に訪れる前から土浦の魅力を体感してもらうことを狙いとしています。「りんりんロード」のような自然とアクティビティを軸に、気軽にアクセスできる体験を仮想空間で提供することが特徴です。
また、仮想空間を動かすことで市民や来訪者のニーズを把握し、コンテンツ・機能の拡充を計画しています。将来的には市民交流や観光・地域振興のツールとして、メタバースを活かすことで、地域サービスの向上につなげていく意図があります。
4-10.日光市|教育旅行メタバース

日光市が「教育旅行メタバース『日光の学び旅かなメタバース』」という仮想空間を整備しています。修学旅行や移動教室などで日光市を訪れる児童・生徒・教職員が、事前学習教材として利用できるものです。自由に入れる6つの“ルーム”で構成されており、自然風景・文化遺産・伝統工芸・食・アクティビティなど、日光の多様な魅力を仮想空間で体験できます。例えば、奥日光ルームでは中禅寺湖や華厳滝、戦場ヶ原などの自然を学べ、世界遺産「日光の社寺」ルームでは日光東照宮などの社寺建築やグリーンスローモビリティの体験も含まれています。
この取り組みは、学校での事前学習の一助とすることで、教育旅行の理解を深め、旅行先の選択肢として日光市を意識してもらう狙いがあります。行政としては、生徒たちの旅をより意味あるものにするため、時間や距離の制約を超えて学びを提供する手法と位置付けています。公教育機関が使いやすいよう、学校での活用の条件について情報を提供しており、すべての部屋は誰でも自由に体験できます。
4-11.鹿児島大学教育学部附属小学校:英語授業でのメタバース活用

鹿児島大学教育学部附属小学校では、高学年の児童が英語によるコミュニケーション力を伸ばすことを目的として、ショッピングモールを模した仮想空間を整備しています。フードコート、スーパーマーケット、観光案内所、フリースペースなどが用意され、生徒が親しみやすい柔らかな雰囲気でデザインされています。外国人アバターも着せ替え可能で、場面に応じて選べる仕様です。使用プラットフォームは「旧DOOR(現Roomiq)」で、アプリ不要でPCやスマートフォンからアクセスできます。
授業では、児童がアバターとしてお客役となり、英語で注文をしたり会話をする活動を導入。通常授業の導入部(オーラル・イントロダクション)として使われ、英語で話すことへの抵抗を下げる役割を果たしています。公開研究会では、普段あまり発言しない児童がこの空間では積極的に参加する様子が見られ、教育効果が確認されています。今後は授業体験のフィードバックをもとに改良を重ね、より使いやすく、英語学習へのモチベーションを高める補助教材としての活用が期待されています。
鹿児島大学教育学部附属小学校|英語授業向けメタバース制作 事例紹介はこちら
4-12.サン共同税理士法人:メタバースオフィス

サン共同税理士法人は、全国の顧客や求職者との接点を増やす目的で、メタバースオフィスを構築しています。プラットフォームには旧DOOR(現Roomiq)を採用し、パソコン・スマホでアプリ不要にアクセス可能。ブランドイメージと先進性を融合させたスタイリッシュな空間デザインが特徴です。
このメタバースオフィスには、「展示エリア」「セミナールーム」「会議室エリア」「面談ルーム」などの複数エリアがあり、過去のセミナー動画が見られるオープンスペースとしてや、座談会などイベントの会場として活用されています。特に会議室エリアは、間接照明やウォールライトなどの照明デザインまで細部にこだわった落ち着いた雰囲気を持ち、新鮮さを感じさせる空間設計となっています。
この取り組みは、単にオンライン上の“見せ場”としてだけでなく、採用活動・広報・求職者とのコミュニケーションの場としての機能を持たせることで、税理士業界における新しいブランディング手法の一つとして位置付けられています。今後は更なる活用拡大(面談、イベント、動画ライブ配信等)により、顧客・人材との距離を縮めることが期待されています。
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4-13.ドン・キホーテがメタバース空間「METAドンキ」でオンライン来店体験を提供

ドン・キホーテ(PPIHグループ)は、「METAドンキ」という仮想空間を公開しています。これは「旧DOOR(現Roomiq)」上に作られており、PC・スマートフォンからブラウザでアクセス可能な設計です。目的は、「近くに店舗がない」「店に行くのが難しい」人にもドン・キホーテのワクワク感を体験してもらうことです。
この空間内には、巨大なキャラクターオブジェのある賑やかなメインルームや、通常は見られない店舗事務所を再現した“事務所ルーム”などが設けられています。ユーザーはアバターを使って、ドン・キホーテのユニホーム「ドンポロ」を着たり、キャラクター(ドンペン・ドンコ・ド情ちゃん)と写真を撮ったりすることができます。限定イベント、クイズ大会、店舗PB商品の装飾やトリビア閲覧など、来訪者が参加できる要素も多数含まれています。
この取り組みの狙いは、ブランド体験の拡張。リアル店舗だけでなく、仮想空間を通じてユーザーとの接点を増やし、楽しさ・親しみを持ってもらうこと。公開記念のイベント期間後も、顧客交流やブランドプロモーションの場として活用を続けていく予定です。
4-14.Academia EXPO

高校生を対象にした教育メタバースイベント「DOOR Academia EXPO」を紹介します。進学・進路選びに必要な情報を1つの仮想空間に集約し、大学ライブ相談会、進路相談、トークイベント、職業体験など多様なコンテンツを提供しています。
「Virtual Campus」では大学担当者とオンラインで対話ができる相談ブースが設けられ、進学に関する不安や疑問を解消する場になっています。また、声優アフレコ体験や講演会など、進路以外の興味やスキルを育む要素も組み込まれています。スマートフォン・タブレット・パソコンで無料・申込み不要で参加できる仕様で、時間や距離の制約を軽減しています。教育のデジタル化が進むなか、高校生が未来を見据えて自分に合った進路選択をできるようサポートする新しい学びの形の一例です。
4-15.日亜鋼業株式会社|メタバースによるテーマパーク「NICHIA METAVERSE WIRE WORLD」

日亜鋼業は、めっき線で業界首位の線材加工メーカーですが、一般消費者への認知度が低いという課題を抱えていました。そこで、自社製品の魅力をより多くの人に伝え、親しみを持ってもらう目的で、「NICHIA METAVERSE WIRE WORLD」を構築しています。
この仮想空間は、「Roomiq(旧DOOR)」をプラットフォームとして採用し、ユーザーが国内外からブラウザでアクセスできる形式です。空間内は「都市エリア」「山エリア」「河川エリア」「海エリア」「交流エリア」の5ゾーンに分かれており、それぞれのエリアで日亜鋼業の製品がどのように実生活や自然環境で使われているかを体験型に学べる構成です。エンタメ要素として、海に潜る体験や“ボルトをジャンプで渡る”ような遊び要素があり、子どもから大人まで楽しめるデザインになっています。製品解説は、平易な説明と専門的な解説の両方を用意しており、初心者にも知見のある人にも対応しています。
この取り組みの利点として、場所や時間の制約を取り払ってアクセス可能であること、製品や用途を立体的に表現できること、そして実物のテーマパークを作るよりコスト低めに維持・拡張できる点が挙げられます。今後もこの仮想テーマパークを通して、認知度向上やブランド親近感の醸成につなげていくことが期待されています。
日亜鋼業株式会社|メタバースによるテーマパーク「NICHIA METAVERSE WIRE WORLD」の事例はこちら
4-16.新潟工科大学:メタバースオープンキャンパス

新潟工科大学は、キャンパス施設をモデリングした仮想空間を構築し、高校生などがいつでもどこでも大学の雰囲気を疑似体験できる「メタバースオープンキャンパス」を運用しています。現地見学が難しい遠方在住者でもPCやスマホを使ってアクセスでき、進学検討の第一歩として大学の施設や学びの環境を具体的にイメージできるように設計されています。
仮想空間には、キャンパス内の代表施設を複数再現しており、「コモンプラザ」「学生食堂」「大講義室」「風洞実験室」「ものづくり工作センター」の5つが含まれます。360°スキャンによる実際の施設の再現度が高く、入試制度や奨学金、教育の特色など、進路選びに関わる情報も展示されています。さらに、大学公式キャラクターのアバター「つくっ太郎」を使用可能とするなど親しみやすさも重視されています。
この取組みの目的は、大学の魅力を広く伝えること、進学を考える高校生に選択肢として新潟工科大学を意識してもらうこと、そして現地オープンキャンパスへの来場を促進することです。今後もPR活動を強化し、仮想空間の内容を拡充していく計画があります。
新潟工科大学:メタバースオープンキャンパスの事例はこちら
まとめ
各地で広がるメタバース活用は、観光振興や移住促進、教育、医療・福祉、防災など、目的に応じて多様な形で展開されています。自治体では地域資源を再現し、事前学習やオンライン商談の場として活用する事例が目立ち、教育機関では実践的な学びや表現の場として導入が進んでいます。さらに医療・福祉や防災分野では、匿名性や安全性を生かした相談・啓発の場としても利用が広がっています。
これらに共通するのは、「距離や時間、心理的ハードルを超えて、人と地域、知識や文化をつなぐ新しいインフラ」としてメタバースが位置付けられている点です。単なる一時的な話題ではなく、リアルとデジタルを補完し合う持続的な仕組みとして各分野に浸透し始めており、今後さらに活用の幅が広がっていくことが期待されます。