近年では、インターネットテレビによるスポーツ中継が活発になり、どこにいてもスポーツ観戦を楽しめる時代になりました。その中でファンの獲得や集客に繋げるための「スポーツマーケティング」に注目が集まっています。
しかし漠然としたイメージしかなく、「スポーツマーケティングとは何なのか」「何から始めたらよいのか」という方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、スポーツマーケティングの意味や効果的な手法、事例などをご紹介していきます。
スポーツビジネスを学べる本もご紹介しますので、スポーツマーケティングを実践したいというスポーツチームや団体、企業の方はぜひ、参考にしてください。
目次
スポーツマーケティングの定義は様々ですが、簡単にいうと「スポーツの価値を活かしたマーケティング活動」のことを言います。
スポーツマーケティングは、大きく分けて2種類。
一つがスポーツチームや団体がファンの獲得や観客の増加などを目指すもの。
スポーツチームや団体がファンや観客の増加、より応援してもらうことを目的として、自チームや選手の魅力を発信します。またスポーツそのものの人気獲得を目的としたスポーツマーケティングもあります。
もう一つが一般企業がスポーツを活用して行うもの。
企業や商品・サービスの認知度の向上、ブランディング、収益化などを図って、スポーツを活用します。球場やスタジアムに広告を設置したり、スポンサーになることが代表的。
近年では、商品を購入したユーザーに向けて選手のグッズのプレゼント企画を行うなど、より活発なスポーツマーケティングが行われるようになってきています。
スポーツマーケティングにも様々な手法がありますが、最近注目を集めているものに「SNS」と「YouTube」が挙げられます。
SNSやYouTubeでは、試合以外の時間やプライベートの時間などのチームや選手の姿を発信することができるため、普段は見られない選手の魅力を知ってもらうことが可能。ファンとの距離感が近く、ダイレクトにファンと繋がれる点はかなり効果的です。
またSNSやYouTubeはファン以外のユーザーにも認知してもらうチャンスでもあります。SNSやYouTubeは不特定多数のユーザーが利用しているため、ファン以外のユーザーに向けても、リーチしやすいというメリットが挙げられます。
SNSの魅力は何といっても、情報の拡散性。
Twitterでの「いいね」や「リツイート」での拡散だけでなく、TikTokやInstagramのショート動画でもファン以外のユーザーに情報や魅力を届けることができます。
またSNSの場合、チーム・選手とファンの双方向からコミュニケーションをとることができます。そのため、参加型企画も行いやすく、ファンとの関係性を深めやすい点がメリットとして挙げられます。
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まずご紹介するのはプロバスケットボールリーグの「B.LEAGUE(Bリーグ)」。
B.LEAGUEのTwitterアカウントは、試合中にも頻繁にツイートをしており、試合の生配信への流入を図っています。ツイートには試合中に起きたプレーを動画で掲載しており、試合が白熱し、盛り上がっている様子が流れるので、目を引かれるユーザーは多いでしょう。
生配信はお試し視聴ができるので、ツイートをきっかけとしたB.LEAGUEの視聴者やファン獲得が期待できます。
また面白い取り組みとしてご紹介したいのが、Twitterのファン投票でB.LEAGUEの月間MVPを決めるという取り組み。これは、ファンにとって嬉しい企画ですよね。
さらにハッシュタグをつけて投票する方法をとっているため、ファン以外のユーザーの目に入りやすく、新たなファン獲得も狙える取り組みですね。
@liverpoolfcCome for Virgil’s assist, stay for Sadio’s goal 😍 ##LFC ##LiverpoolFC ##football ##vandijk ##mane ##fyp ##foryoupage♬ Gods Plan Slowed – Payton stan
次にご紹介するのは、イングランドのプロサッカークラブ「Liverpool FC(リヴァプール FC)」のTikTok。
試合中のプレーだけではなく、トレーニング中やプライベートの様子などをTikTokに投稿しています。
TikTokやInstagramなどのショート動画の特徴はなんといっても、気軽に見られること。その気軽さから、離脱率が低く、チームや選手、スポーツそのものの魅力に気づいてもらう入口として効果的です。
普段見ることができない選手の姿を投稿することも一つの手ですが、スーパープレーの動画を投稿して、選手のプレーやスポーツそのものの凄さ・面白さに気づいてもらうこともおすすめです。
本日はマリノスらしさやマリノスらしい熱狂とは何かをテーマにした #沸騰プロジェクト ミーティングでした。
どんなことを感じているのか、どんな風に見ているのか、人の数だけマリノスとの絆があるなぁと改めて思った時間です。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました‼️#fmarinos pic.twitter.com/SvPjyx4OH5— 横浜F・マリノス 沸騰プロジェクト (@mari_fan_jp) December 10, 2021
最後にご紹介するのは、日本のプロサッカークラブ「横浜F・マリノス」。
横浜F・マリノスでは、熱狂的なファンを「スーパーファン」と呼び、スーパーファンの声を顕在化させるために2018年から「横浜F・マリノス沸騰プロジェクト」を行っています。
横浜F・マリノス沸騰プロジェクトは無料登録をすることでプロジェクトメンバーになることができ、ファンミーティングやスタジアムの施策、プロモーションなどをこれまで実施。
プロジェクトメンバーが起点となって、他のファンにも好影響を与えていき、ファンコミュニティの自走化が実現しました。
▶︎▶︎横浜F・マリノス 公式サイト
動画コンテンツでスポーツマーケティングをしたいという方におすすめのYouTube。
動画はテキストや静止画よりも、たくさんの情報を伝えることができるだけでなく、視聴のハードルが低いため、マーケティングにおいて、有効なツールです。
YouTubeに投稿した動画はSNSで拡散・共有することができ、最近ではYouTubeにもショート動画機能が搭載されるようになったので、ファン以外のユーザーにも視聴してもらいやすくなっています。
またライブ機能を使って、優勝の胴上げやビールかけを選手目線で生配信したり、ファン感謝祭やファン参加型企画を配信したりとYouTubeでのスポーツマーケティングの幅も広がっています。
まずは、ウェブでのプロ野球中継配信を行っている「パ・リーグTV」。
投稿されている動画は試合ハイライトだけではなく、少し笑えるシーンや好プレー、コアなまとめ動画など、野球ファンにはたまらない動画が満載。さらに、こちらの動画はパ・リーグ公式のTwitterアカウントやInstagramアカウントでも頻繁にシェアされています。
野球中継の楽しみ方を動画を配信することで、野球中継視聴への流入を目指している動画マーケティング事例ですね。
続いては、プロ野球チームの「千葉ロッテマリーンズ」。
千葉ロッテマリーンズは、ファンのみんなで一緒に自宅からの試合観戦を楽しんでほしいと「Marines Watch Party」を配信しました。過去の名試合の試合映像をそのままライブ配信し、まるでリアルタイムで視聴しているかのような体験を味わえます。
またこの動画配信には、スポンサーがついており、動画の概要欄にはスポンサー企業からのメッセージが記載されています。一般企業のスポーツマーケティングの一つの事例です。
▶︎▶︎千葉ロッテマリーンズ 公式サイト
次にご紹介するのは、メジャーリーグのサンディエゴ・パドレスに所属している「ダルビッシュ・有」選手。(2021年12月17日時点)
2017年にYouTubeにて初めての動画をアップしています。トレーニングの様子や雑談動画、さらには別チャンネルでゲーム動画を投稿するなど、ダルビッシュ有選手のリアルな姿を見ることができます。
プロスポーツ選手のプライベートを知ることもそうですが、プロスポーツ選手の考え方やトレーニング、食事など、日々努力している様子を知ることができるのは、ファンにとっても、プロを目指す子どもにとっても嬉しいものです。
最後にご紹介するのは、B.LEAGUEに所属する「新潟アルビレックスBB」。
試合のハイライトを投稿するだけでなく、YouTuberのような企画を選手にやってもらったりと、選手の人柄をさらに知ることができる動画を多数投稿。
「選手たちに対して親近感を抱いてほしい。選手たちの人間としての魅力を届けたい」というような想いが感じられます。
応援しているチームや選手のことをさらに深く知ることができるので、ファンにとっても嬉しい取り組みですよね。
また、新潟アルビレックスBBには弊社(リプロネクスト)で制作・サポートさせていただいた「試合会場VR体験動画」も配信しています。
まだ試合会場へ足を運んだことがない人でも、試合会場で試合を見る楽しさを疑似体験できるコンテンツ。
この動画のVR体験会のブースを実際に試合会場にて設置しました。
楽しみ方の新提案を行うことも、スポーツマーケティングにおいては重要ですね。
▶︎▶︎制作実績:新潟アルビレックスBB様【180度3D VRコンテンツ】
SNSやYouTubeでのスポーツマーケティングの事例をご紹介してきましたが、動画がスポーツマーケティングに効果的とお気づきの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
動画配信市場は拡大を続けており、今後も拡大していくと見込まれています。(参照:動画配信市場調査レポート2021)
動画は視聴のハードルも低く、メッセージを伝えやすいコンテンツ。さらには映像や音声で魅力を発信することができるので、スポーツマーケティングにおいて、とても効果的な媒体だといえます。
スポーツマーケティングの検討をしている方は、動画を活用してみてはいかがでしょうか。
スポーツマーケティングを学ぶ際に役立つ本をご紹介します。スポーツマーケティングを始める方はぜひ、読んでみてください。
アメリカの4大プロスポーツといえば、NBA・MLB・NFL・NHL。これらのスポーツリーグと比較して、サッカーが根付いていないアメリカでは、プロサッカーリーグであるMLS(Major League Soccer)は、人気があるとはいえない状況にありました。
しかし今現在、アメリカでサッカーは人気のスポーツとなっています。システムも特殊で、ビジネスとしても大きな盛り上がりを見せているMLS。
どのようにして、人気のスポーツへと躍進させたのかを学べる1冊です。
▶︎▶︎「MLSから学ぶスポーツマネジメント」はこちら(amazon)
今となっては人気クラブである千葉ジェッツ。しかし、そんな千葉ジェッツも以前は経営不振に陥っていました。
その時に千葉ジェッツの立て直しを任され、社長に就任したのが島田慎二さんでした。
「千葉ジェッツの奇跡 Bリーグナンバー1クラブの秘密」は、その島田慎二さんが書いた本で、どうやって千葉ジェッツのファン・観客を増やしたのか、どうやって再建できたのかなどのノウハウを学ぶことができます。
▶︎▶︎「千葉ジェッツの奇跡 Bリーグナンバー1クラブの秘密」はこちら(amazon)
こちらの「ファンベース」は、スポーツと直接関係はありませんが、ファンをつくっていくためにはどんなことが必要か気づかせてくれる本です。
スポーツにおいてもファンは重要な存在ですが、「熱狂的なファン、つまりコアなファンをどれだけつくれるかが大切」。
どうしてもファン全体の数を気にしてしまいがちですが、どうやってコアなファンをつくり、コアなファンをつくることでどのような影響があるのかなど、ファンを基盤とするマーケティングについて学ぶことができます。
「空気のつくり方」は、赤字経営になっていた横浜ベイスターズを社長就任から数年で黒字経営にした池田純さんが書いた本。
池田純さんは、社長就任前は年間110万人だった横浜ベイスターズのホーム、横浜スタジアムの観客動員数を就任から5年間で年間194万人まで増やすという成果を上げています。
この社長に就任してからの5年間、チームの成績は5位、もしくは6位と決していい成績ではなかったのにも関わらず、なぜここまで人気の球団にできたのか。それが分かる本です。
スポーツマーケティングを実践する上で課題もあります。
ビジネスにもなるスポーツですが、日本の場合、スポーツビジネスの発展が必要という自覚を持つ人が少ない現状があります。そのため、利益が協会やリーグに還元されないことが多いのです。利益が還元されなければ、スポーツ全体の発展や若手の育成につながりません。
もちろんビジネスを目的としすぎて、スポーツ選手を第一に考えずにスポンサーやメディアのためのスポーツになってはいけませんが、スポーツ選手や子どもたちのためにも、スポーツビジネスを発展させなければならないという自覚を持たなければなりません。
スポーツマーケティングを実践する際には、スポーツ選手のことを第一に考えながらも、日本のスポーツ業界の現状を把握しておく必要があります。
今回はスポーツマーケティングの意味や効果的な手法、事例などをご紹介しました。
スポーツそのものはもちろん、チームや選手、さらには一般企業にも効果的なスポーツマーケティング。工夫を凝らすことで、ファンだけでなく、世間に向けて認知度向上やブランディングを図ることができます。
弊社(リプロネクスト)では、スポーツ選手のオンラインサロン企画・運営サポートや、プロモーション向け動画制作、SNSマーケティングの支援など幅広くお手伝いさせていただいています。
Webマーケティングに関して課題やお悩みがございましたら、お気軽にご相談ください。