東海バネ工業|オーダーメイドばね検討者向けに対話型AIコンシェルジュ「NOIM」を導入。技術的な迷いを整理し、問い合わせの質を高める
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DATA
株式会社リプロネクスト(代表取締役:藤田 献児)は、東海バネ工業株式会社(本社:大阪市西区、代表取締役:夏目 直一)と連携し、オーダーメイドばねの仕様検討者向けに、対話型AIコンシェルジュ「NOIM(ノイム)」を設計・導入いたしました。本導入では、問い合わせの「量」ではなく「質」の向上を主眼に置き、検討者が抱える技術的な迷いを整理し、判断を前に進める仕組みの構築を目指しています。
背景・課題
東海バネ工業は1934年の創業以来、1個からのオーダーメイドばねを多品種微量で製造してきた専門メーカーです。同社のWebサイトには「なんでも相談室」と呼ばれる技術掲示板が設けられており、バネに関するニッチな質問が蓄積されることで検索流入を生み、問い合わせにつながる導線として長年機能してきました。検討者の多くはメーカーの設計担当者や開発技術者であり、サイトへの訪問と離脱を複数回繰り返しながら、徐々に理解を深めて問い合わせに至るという行動パターンが確認されています。
しかし、この検討プロセスにはいくつかの構造的な障壁が存在していました。相談室は公開前提であるため、ユーザー側には「自社の情報を出したくない」という匿名性のハードルがあり、企業側にも「公開回答としてオフィシャルな表現にしなければならない」という運用上の制約がありました。また、問い合わせフォームに到達しても、寸法・材質・使用環境・数量・納期といった必要情報を整理しきれないまま離脱してしまうケースや、仕様が曖昧な状態で抽象的な問い合わせが届き、営業側の初回対応に時間がかかるといった課題もありました。さらに、生成AIの進化に伴い、同社が公開している技術データが外部のAIに参照される状況が生まれつつあり、自社サイトに来訪したユーザーにこそ「より深い対話」を提供する必要性が高まっていました。
実施内容
■東海バネ工業株式会社公式サイト
https://www.tokaibane.com/
NOIMの設計
本NOIMは、「問い合わせ一歩手前の迷いを受け止める非公開の技術窓口」として設計しました。「ユーザーが事例集を見て“できるんだ”という確信を持てた瞬間に問い合わせにつながる」という知見を設計の核に据えています。
回答トーンは「技術的に誠実で中立、かつ営業色を感じさせない」ことを最優先としました。これは同社が重視する「問い合わせ前の心理的ハードルを下げる」という方針を反映したものです。検討者には「問い合わせをすると営業電話がかかってくるのではないか」という警戒があるため、“安心して質問できる技術窓口”としての立ち位置を徹底しています。一方で、非公開の会話という特性を活かしつつも、安全・寿命・適合を保証するような技術的断定や、価格・納期の確約は行わない設計としています。
なお、サイトに掲載するNOIMには、東海バネ工業株式会社の公式キャラクター「ばねっと君」を採用しています。
対話構造
ユーザーがWebサイト上で対話型AIコンシェルジュを起動すると、まず用途や現在分かっている条件(寸法・材質・使用環境・数量・納期など)を自由な言葉で入力できます。対話型AIコンシェルジュは、いきなり結論を出すのではなく、まず用途と条件を丁寧に確認し、一般的な情報で回答できる範囲は即座に整理して提示します。不足している情報があれば追加質問を行い、ユーザーの検討条件を段階的に具体化していきます。
検討が進んだ段階では、問い合わせ時に入力すべき項目ごとに整理し、そのまま問い合わせフォームに貼り付けられる下書きを生成する機能も備えています。これにより、「フォームを開いたが何を書けばいいか分からず離脱する」という課題に対応しています。条件が未確定な場合や断定できない技術判断については、「最終は担当が確認します。まずは前提を整理しましょう」という接続を行い、人が対応すべき領域へ適切に橋渡しを行います。
計測指標
本導入では4つの指標を計測しています。CV指標として問い合わせフォーム完了率・次行動発生率、会話開始率、平均会話ラリー数、FAQ不足の検知(回答不能質問・離脱ポイントの特定)を追跡し、GA4との連携でユーザー行動と会話履歴を紐付けて分析します。
今後の展望
今後は、相談室に蓄積された技術Q&Aデータの取り込みによる回答精度の向上、会話ログに基づくWeb改善と営業活動への活用など、ログデータを用いてユーザー体験の向上を継続的に目指してまいります。機能強化を進めます。