メタバース
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大学の魅力を発信する方法とは?今注目のメタバースの事例も紹介
少子化が加速する中、多くの大学では「いかに自校の魅力を発信し、志願者を確保するか」が喫緊の課題となっています。学生獲得競争が激化する今、従来のパンフレットやWebサイトだけでは、十分に大学の個性や魅力を伝えきれないという声も増えています。
近年、こうした課題を解決する新たな手法として注目を集めているのが「メタバース」を活用した大学広報です。本記事では、メタバースを用いた教育・広報の最新動向と活用事例、導入のポイントを詳しく紹介します。
1. メタバースとは?教育分野で注目される理由
メタバースとは、インターネット上に構築された三次元の仮想空間で、アバター(自分の分身)を通じて他者と交流したり、学習・イベントに参加したりできる仕組みのことを指します。
利用者は、現実世界の制約を超えて自由に移動・発言・体験でき、まるで実際の空間にいるかのような没入感を得られます。近年ではこの特性を生かし、教育、採用、研修などの分野で導入が進んでいます。
特に「メタバース教育」は、オンライン授業や動画配信とは異なり、学生が自ら体験しながら学べるという点が大きな特長です。大学の広報活動においても、受験生が“体験を通して大学を知る”ことができる手段として注目を集めています。
2. 大学における魅力発信の重要性
2-1. 認知度向上とブランドイメージの確立
大学が積極的に情報発信を行う目的の一つは、認知度の向上です。特に地方大学は首都圏に比べて物理的な距離の制約があり、まず「知ってもらう」ことが大きな課題です。SNSやWebメディアを通じて接点を増やし、関心を持ってもらうことが第一歩となります。
同時に、大学理念や教育方針、研究成果、卒業生の活躍といった情報を体系的に発信することで、ブランドイメージを高めることも重要です。ブランドの確立は、学生や保護者からの信頼感を強め、志願者数の増加にもつながります。
2-2. 入学希望者確保という経営課題
日本私立学校振興・共済事業団の調査では、令和5年度に全国の私立大学の約半数(53.3%)が定員割れとなったことが報告されています。少子化の影響が進む中、安定した大学経営の基盤となる「入学者数の確保」は今後ますます重要となるでしょう。
受験生が「この大学に行きたい」と感じるきっかけを生むためには、パンフレットやWebサイトだけでなく、“体験を通じた共感”を得る発信が求められます。オープンキャンパスや模擬授業など、学生と直接交流できる機会の設計が欠かせません。
3. 効果的な大学広報を行うための4つのポイント
3-1. 学生のニーズを正確に把握する
志願者や在学生のニーズを理解することが、広報戦略の出発点です。受験情報に加え、キャンパスライフや地域の魅力など、入学後の生活を具体的に想像できる情報を発信することで、受験生の安心感と興味を高めることができます。
3-2. 大学の独自性を明確化する
多くの大学が存在する中で選ばれるためには、「この大学でしか体験できない価値」を明確に伝えることが重要です。教育プログラム、研究内容、地域連携、キャンパス環境など、具体的な事例をもとに差別化を図ることが効果的です。
3-3. ブランドメッセージを統一する
ロゴやカラーだけでなく、理念やトーン&マナーの統一を図ることで、どの媒体でも一貫したブランド体験を提供できます。「この大学らしさ」という印象を確立することで、長期的なブランド価値の形成につながります。
3-4. 双方向のコミュニケーションを重視する
受験生の多くは進路に不安を抱えています。その心理に寄り添い、対話的にサポートすることが信頼関係の構築に直結します。オープンキャンパス、個別相談会、オンライン説明会などを通じて双方向の関係を築くことが大切です。
4. メタバース教育を活用した大学広報の可能性
4-1. 没入型体験で大学を「体感」できる
メタバースでは、仮想空間上に大学キャンパスを再現し、学生や保護者が自宅からでも自由に見学できます。3D空間内で授業風景を見たり、学生や教職員のアバターと会話したりと、従来のオンライン説明会では得られない臨場感ある体験が可能です。
4-2. 教育への応用も拡大
メタバースは広報だけでなく、授業や研究発表の場としても活用されています。実験や建築設計、プレゼンテーションなどを仮想空間で実践できるため、学びの質の向上にも寄与しています。
5. メタバースで大学の魅力を発信する5つのメリット
- 24時間365日、世界中からアクセス可能
場所や時間にとらわれず、どこからでも大学情報に触れられる。 - リアルイベントへの来場促進
仮想体験をきっかけに、実際のオープンキャンパス参加を促す。 - 遠方や第2志望層にもアプローチ可能
距離や費用のハードルを超えて、幅広い層に情報を届けられる。 - キャンパスライフをリアルに想像できる
施設・授業風景・学生生活を再現し、具体的な入学後イメージを醸成。 - 革新的な大学イメージを訴求できる
先進技術を取り入れた姿勢が、ブランド価値の向上にもつながる。
6. メタバース教育の実践事例
以下では、実際にメタバース空間を活用して大学の魅力を発信している事例を紹介します。
6-1.新潟工科大学|メタバースオープンキャンパス

新潟工科大学では、キャンパス内の主要施設を3DCGでモデリングした仮想空間を構築し、いつでもどこからでも大学の雰囲気を体験できる「メタバースオープンキャンパス」を運用しています。現地訪問が難しい遠方在住者でも、PCやスマートフォンを使ってアクセスでき、進学検討の初期段階から大学の施設や学びの環境を具体的にイメージできるよう設計されています。
仮想空間には、「コモンプラザ」「学生食堂」「大講義室」「風洞実験室」「ものづくり工作センター」など、キャンパスを象徴する5つの施設を再現。360°スキャンによる高い再現度で、入試制度や奨学金、教育の特色といった進路選びに関する情報も閲覧できます。また、大学公式キャラクター「つくっ太郎」のアバターを使用できるなど、親しみやすさにも配慮されています。
この取り組みの目的は、大学の魅力をより多くの人に伝え、進学を検討する高校生に新潟工科大学を選択肢の一つとして認識してもらうこと、さらに現地でのオープンキャンパス参加を促すことにあります。今後もPR活動を継続的に強化し、仮想空間のコンテンツ拡充を進めていく予定です。
新潟工科大学|メタバースオープンキャンパスの詳細はこちら
6-3.岐阜女子大学|メタバースクラブ

デジタル技術を活用した新しい学びの形が注目される中、岐阜女子大学では学生主体の「メタバースクラブ」が活動を展開しています。クラブでは、教育・地域・文化の分野でメタバースを活用することを目的に、仮想空間の設計やイベント運営、発表会などを学生が主体となって実施。実践的なデジタルスキルを養うとともに、学外連携の機会も広げています。
活動の一環として、大学紹介やオープンキャンパスをメタバース上で再現する取り組みも行われ、来校が難しい高校生にも学びの魅力を発信。デジタル空間での交流を通して、新しい地域貢献や教育支援の形を探求しています。学生が主体となって技術と創造を融合させる同クラブの取り組みは、大学教育の新しい可能性を示しています。
6-3.日本アニメ・マンガ専門学校|学生作品展

出典:NSGグループ公式サイト
アニメ・マンガ・イラストなどのクリエイティブ分野では、デジタル技術を活用した発信や学びの形が広がっています。日本アニメ・マンガ専門学校では、在校生の作品展示や学校紹介を目的に、メタバース空間を活用した新たな取り組みを実施しました。オンライン上でも、リアルイベントのような臨場感を持って作品の魅力を伝えることができる点が特徴です。
メタバース内では、学生が制作したアニメ・マンガ・イラスト作品を3D空間上で展示し、来場者が自由に歩き回って鑑賞できる仕組みを導入。遠方の学生や入学希望者も参加しやすく、同校の学びや学生の表現力を幅広く発信する新しいデジタル展示の形として注目されています。今後は発表会やオープンキャンパスへの応用も期待されています。
6-4.教育メタバースイベント|DOOR Academia EXPO

出典:PR TIMES
大学・専門学校・教育機関が抱える広報や入試活動の課題解決を目的に、教育分野のDXをテーマとした展示会「Academia EXPO」が開催されました。教育現場におけるメタバースや生成AI、デジタルツールの活用が進むなか、最新のソリューションを一堂に紹介する場として注目を集めています。
会場では、バーチャルキャンパス、オンラインオープンキャンパス、教育機関向けマーケティング支援など、各社の実践事例が多数展示されました。来場者は、学生募集やブランディング強化に直結する最新技術を体験しながら、教育DXの今後を具体的に考える機会となりました。教育分野におけるデジタル活用の潮流を示すイベントとして、次回開催にも期待が寄せられています。
6-5.近畿大学理工学部|化学の楽しさがわかるメタバース空間を開設

出典:近畿大学公式サイト
近畿大学理工学部では、化学分野の魅力を体験的に理解できる「メタバース空間」を開設しました。学生や高校生などがオンライン上で自由にアクセスし、化学実験や研究設備の紹介を通して、理系分野の学びや研究の奥深さに触れられるよう設計されています。
仮想空間内では、理工学部の研究テーマや設備、学生の取り組みを可視化。実際の研究室を模したエリアで、反応実験の様子や成果を分かりやすく紹介しています。従来の説明会やWebサイトでは伝えきれなかった「化学の面白さ」を、視覚的・体験的に発信することを目的としています。
この取り組みを通じて、近畿大学理工学部は化学分野への関心を高め、理系進学を目指す学生にとって魅力的な学びの入り口を提供しています。
6-6.福岡大学|メタバースキャンパス

福岡大学では、学生や受験生がオンライン上でリアルな大学生活を体感できる「メタバースキャンパス」を開設しています。仮想空間内にはキャンパス施設を3Dで再現し、授業やクラブ活動の様子、学生インタビューなど、大学の日常を体験的に理解できるコンテンツが配置されています。
利用者はPCやスマートフォンから簡単にアクセスでき、実際に大学を訪れたかのような臨場感で福岡大学の魅力に触れることができます。リアルのオープンキャンパスに参加できない受験生にとっても、大学の雰囲気を知るきっかけとなる仕組みです。
この取り組みは、デジタル技術を活用した新しい情報発信の形として注目されており、学生募集やブランディングの強化にもつながっています。
7. メタバース空間を構築する5つのステップ
- 目的の整理と企画立案
広報・教育など目的を明確化し、世界観やターゲットを定義します。 - 空間規模とデザイン決定
リアル再現型か、コンセプト演出型かを検討します。 - プラットフォーム選定
Roomiq(旧DOOR)、Cluster、VRChatなど、目的に合った環境を選びます。 - 空間設計・コンテンツ制作
ルート設計や動画・展示要素を組み合わせ、体験価値を高めます。 - 3DCGモデリングと運用改善
完成後は利用状況を分析し、体験者の声を基にブラッシュアップを行います。
8. まとめ:メタバース教育が拓く新しい大学広報の形
大学広報の在り方は、今まさに変革期を迎えています。メタバース教育の活用は、単なるデジタル施策ではなく、大学の理念や学びを「体験として伝える」革新的な手段です。
学生がどこにいてもアクセスできる仮想キャンパスは、大学の魅力をより深く、より広く伝えることを可能にします。
リプロネクストでは、大学・法人・自治体向けに、メタバースを活用した広報・教育企画を、企画から設計・制作まで一貫してサポートしています。
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