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なぜ問い合わせは増えないのか

~ 意思決定が止まる「時間帯」を分解する ~
本記事では何を扱うのか
本章では、高関与商材を扱う企業において、問い合わせにつながらない理由を「時間」という視点から整理します。
高関与商材とは、住宅、進学、採用、設備投資、移住など、人生や事業に大きな影響を与えるために慎重に検討される商品やサービスを指します。顧客は興味を持ち、情報にも触れ、比較も行っています。それでも問い合わせに至らない。その背景には、社員が対応できない時間帯に生じる「見えない停滞」が存在しています。
夜など社員が対応できない時間帯に起きていること
顧客の検討は、営業時間内だけで進んでいるわけではありません。多くの人は仕事後の夜に比較検討を行い、通勤中にスマートフォンで情報を収集し、休日には家族や上司と相談します。あるECプラットフォームのデータでは、昼間よりも夜間の流通額の方が大きい傾向が示されています。人は夜に動いています。
一方で、多くの企業では社員が対応できる時間は1日8時間前後に限られています。顧客が最も検討している時間帯の多くは、企業が直接対応できない時間です。顧客は動いている。しかし企業は寄り添えていない。この時間的なズレが、問い合わせ前の停滞を生み出しています。
対面営業中心モデルの限界
多くの営業活動は、対面やオンライン面談など「人が同時に関わる前提」で設計されています。店舗に来てもらう、オンライン商談を設定する、電話で説明するといった方法が主流です。しかし顧客の検討は、企業の営業時間に合わせて進むわけではありません。
夜に不安を感じる、家族に反対される、社内説明に困る。その瞬間に迷いを整理できなければ、問い合わせは発生しません。どれだけ優秀な営業担当者がいても、「迷いが生まれた瞬間」に寄り添えなければ意思決定は前に進みません。
人が対応できない時間は67%存在している
企業が顧客対応できる時間は、一般的に1日8時間前後です。一方で、顧客の検討はほぼ24時間の中で行われています。単純計算すると、企業が対応できない時間は約67%にのぼります。顧客が考えている時間の3分の2は、企業が設計していない時間です。
例えば住宅検討者が夜に間取りを見ていて「本当にこの価格で大丈夫か」と感じた場合、その瞬間に整理できなければ不安は翌日まで持ち越されます。そして競合サイトを開く可能性が高まります。製造業の設備担当者が夜に資料を見直し「社内説明が難しい」と感じた場合も同様です。その場で整理できなければ、案件は保留になります。
問い合わせが増えないのは関心がないからではありません。対応できない時間帯に迷いが解消されないからです。
Web情報をコミュニケーション媒体に変える
私たちは、意思決定が止まらない状態を、ホームページが「情報を見る場所」のままで終わらないことだと捉えています。多くのWebサイトは受動的です。顧客は読むだけ、比較するだけ、考えるだけで、そこに整理も対話も存在していません。その結果、迷いは残り、疑問は保留され、判断は先延ばしになります。
一方で、Web情報がコミュニケーション媒体として機能すれば、状況は変わります。その場で体験でき、質問でき、迷いを整理でき、次の一歩を明確にできます。受動的な閲覧は、能動的な前進へと転換します。重要なのは、24時間問い合わせフォームを置くことではありません。迷いのパターンがデータとして蓄積され、改善が回り続ける構造があるかどうかです。
リプロネクストが向き合う課題
私たちは、高関与商材に存在する時間の壁を構造の問題として捉えています。
距離を超えて体験を届ける体験型デジタルスペースRoomiqと、時間に依存せず迷いを整理する対話型AIコンシェルジュNOIMを組み合わせることで、社員が不在の時間帯でも意思決定が前進する設計を進めています。
重要なのは問い合わせ数を増やすことではありません。顧客が動く瞬間に前進できる構造を持つことです。
まとめ
問い合わせが増えない原因の一つは時間にあります。顧客は夜に動いていますが、企業はその時間の67%を設計していません。対面営業中心のモデルでは、迷いが生まれた瞬間に寄り添うことができません。必要なのは、Webを情報置き場からコミュニケーション媒体へと変えることです。