VR
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対面イベント・展示会のVR活用事例を紹介vol.1【小千谷市観光プロモーション】

「他のブースに埋もれてしまい、立ち止まってもらえない」
「動画やチラシでは魅力が伝わりきらない」
という声をよくいただきます。
イベントや展示会は、来場者と直接接点を持てるプロモーションの場である一方、限られたスペースと時間の中で情報を届けなければならないという制約もあります。そうした場面において、VRを活用した体験型コンテンツへの関心が高まっています。
今回は、私たちがサポートした小千谷市の観光プロモーション事例をもとに、対面イベント・展示会でのVR活用のポイントを整理します。
1. 自然・観光資源のプロモーションが抱える構造的な課題
自然景観や公園、山岳・海岸などの観光資源は現地来訪を前提とした活用構造にあり、天候・季節・災害・環境保全の制約を受けやすいです。その結果、常時公開や継続的な情報発信が難しく、繁閑差の大きい観光構造に陥りがちです。また、資源の背景や環境的価値が十分に伝わらず、来訪体験が単発消費にとどまりやすい構造があります。
こうした課題に対して、イベント・展示会の場でどのようにアプローチするかが、観光プロモーションの設計において重要な論点になっています。
2. 対面イベント・展示会でVRを活用するメリット
2-1. 印象的な集客コンテンツになる
対面型のイベント・展示会では、動画・写真・パンフレットを使った訴求が一般的です。VRなどの体験型コンテンツはまだ多くはなく、初めて目にする来場者も多いため、ブースへの集客力が高い点が特徴です。
体験中の感動・驚き・興奮といった感情表現や、体を動かすリアクションは周囲の来場者の関心を引くきっかけになります。人のリアクションが次の集客を生む、という連鎖が起きやすい点もVRならではです。
2-2. 臨場感のある体験型コンテンツを届けられる
現地体験や空間理解が重要である一方、物理的制約により参加機会が限定される場合、バーチャル技術は実環境に影響を与えずに構造や工程を視覚的に再現できるため有効とされています。ただし、実体験の完全な代替ではなく、活用目的の明確化が前提となります。
観光プロモーションの文脈でいえば、森を歩く・空中を漂う・雪上から眺めるといった視点を疑似体験させることで、「行ってみたい」という動機を具体化する役割を持ちます。パンフレットの「視聴」ではなく、「体験」として届けることで記憶に残るアプローチが可能になります。
2-3. ノベルティとして体験を持ち帰ってもらえる
VRゴーグルをノベルティとして配布することで、体験をその場限りで終わらせない設計ができます。簡易的な段ボール製VRゴーグルは単価を抑えられる上に、ロゴやキャラクターを使ったオリジナルデザインにも対応可能です。自宅に持ち帰ってもらうことで、繰り返し体験してもらえる点や、家族・友人への波及効果も見込めます。
3. 小千谷市のVR活用事例【クールジャパンEXPO in NIIGATA】
2022年11月5日(土)・6日(日)、朱鷺メッセにて開催された「クールジャパンEXPO in NIIGATA」の小千谷市ブースにて、観光プロモーションコンテンツとしてVRを活用しました。ブース構成のポイントを3点に整理します。
3-1. Meta Quest 2で没入感のある体験を
小千谷の美しい自然や伝統文化を360°映像で体験できるVR体験コーナーを設置しました。Meta社のVRヘッドセット「Meta Quest 2」を4台用意し、来場者に体験いただきました。
体験コンテンツとして、小千谷の四季景観を体感できる映像と、本州唯一の雪上気球に乗った視点の映像を提供しました。360°自由に視点を動かせる没入感が、来場者の反応を大きく引き出しました。


(VR360°映像)四季・景観 -小千谷の観光を発信-
(VR360°映像)気球に乗ってみよう! ‐小千谷の魅力を発信 –
3-2. VRドームで複数名が同時に体験を共有
VRヘッドセットが個人体験のデバイスであるのに対し、VRドームはプラネタリウムのような半球型スクリーンに映像を映し出すことで、複数人が同じ体験を共有できる形式です。家族や友人と並んで、小千谷の風景を一緒に楽しめる設計としました。


3-3. オリジナルVRゴーグルをノベルティとして配布
会場での体験を自宅でも続けてもらえるよう、オリジナルVRゴーグルをノベルティとして用意しました。両日先着50名ずつ配布し、午前中には配布終了となりました。それまで小千谷を知らなかった方に、自分のペースで地域の魅力を発見してほしいという意図を込めて制作しました。


4. 参加者の声
・地域の文化を体験するのは、タイミングや物理的な移動のハードルが非常に高いです。VRで手軽にリアルな雰囲気を感じることができました。より一層行ってみたいと思いました。
・空中を歩いているみたいです。こんな視点を安全に体験できるのはVRならではだと思います。
・自分の地元のことを家族に知ってもらうために、ノベルティのVRゴーグルをもらいました。家族に見せるのが楽しみです。
・小さな子どもと一緒に、安全に同じ体験ができるVRドームはすごいです。日本の自然の素晴らしさを改めて実感しました。
5. まとめ
自然景観や観光資源は現地来訪を前提とした活用構造にあり、季節や天候、環境保全の制約を受けやすいです。そのため、常時公開や継続的な情報発信が難しく、繁閑差の大きい観光構造に陥りがちです。イベント・展示会の場でVRを活用することは、こうした制約を超えて地域の魅力を疑似体験として届ける手段として有効です。ただし、実体験の完全な代替ではなく、来訪意欲の醸成や関係構築を目的とした補完的設計が前提となります。
観光プロモーションにおけるVRの役割は、地域の魅力を「知ってもらう」段階から「体験として届ける」段階へと移行しつつあります。イベント・展示会という一時的な接点を、来訪意欲の起点として設計できるかどうかが、今後の観光プロモーションにおける重要な論点になっていくと考えています。