デジタルアーカイブ
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デジタルアーカイブとは何か|「保存」で終わらせないための考え方

デジタルアーカイブという言葉は広く使われるようになりましたが、その意味や目的は、現場ごとに大きく異なっています。
単に資料をデジタル化することを指す場合もあれば、活用や発信まで含めた取り組みとして語られることもあります。
実務の中で多く見られるのは、「作ったが使われていない」「数年で止まってしまった」という状態です。
その背景には、デジタルアーカイブを保存作業として捉えてしまう認識があります。
1. デジタルアーカイブとは何か

デジタルアーカイブとは、文化財や資料、地域の記録などをデジタル化し、将来にわたって保存され、活用され続ける形で残す取り組みを指します。
ここで重要なのは、データを作ること自体が目的ではないという点です。
撮影やスキャンを行い、データとして保管するだけであれば、それはデジタル化ではあっても、デジタルアーカイブとは言えません。
デジタルアーカイブでは、誰が、どの場面で、何のために使うのかという前提まで含めて設計されていることが求められます。
この考え方は、首相官邸から発表された「デジタルアーカイブ戦略 2026–2030」においても示されており、デジタルアーカイブを単なる保存施策ではなく、文化・学術・地域資源などを横断的に活用するための社会基盤として位置づけています。
・出典:首相官邸ホームページ(デジタルアーカイブ戦略 2026–2030)
1-1. デジタル化とデジタルアーカイブの違い
デジタル化は、資料や記録をデータとして残すことを目的とします。 一方で、デジタルアーカイブは、文化や記憶を、意味や文脈とともに未来へ引き継ぐための基盤です。
何を残したかだけでなく、なぜ残したのか、どのように使われてきたのかといった背景まで含めて継承されることが重要になります。
2. 作って終わりでは成立しない理由
デジタルアーカイブは、一度作って完了する事業ではありません。 時間の経過とともに、担当者の異動、組織体制の変更、社会的な関心の変化、技術環境の更新といった変化が必ず起こります。
それでもなお、数年後も使われ、説明され、引き継がれている状態を前提に考えられているかどうかが、アーカイブとしての価値を左右します。
3. デジタルアーカイブに必要な3つの視点
デジタルアーカイブには、次の3つの視点が同時に求められます。
3-1. 保存の視点
正確に残せているかという視点です。 必要な情報が欠けていないか、将来も参照できる形になっているかといった点が含まれます。
3-2. 活用の視点
実際に使われているかという視点です。 誰が、どの場面で使うのかが整理されていなければ、アーカイブは自然と使われなくなります。
3-3. 継続の視点
将来に引き継げるかという視点です。 担当者が変わっても理解できるか、更新や見直しができる構造になっているかが重要になります。
4. 国としての動きとデジタルアーカイブ
デジタルアーカイブは、自治体や個別組織だけの取り組みではなく、国としても重要な社会基盤として位置づけられています。
近年、国はデジタルアーカイブを「文化・学術・地域資源を横断的に活用するための基盤」と捉え、保存だけでなく利活用や継承まで含めた取り組みを重視しています。これは、単発のデジタル化事業ではなく、将来にわたって循環し続ける仕組みとして整備する必要があるという考え方です。
5. まとめ
デジタルアーカイブとは、デジタル化することでも、ツールを導入することでも、一時的な施策でもありません。 地域の記録を、将来にわたって意味ある形で引き継ぐための設計行為です。
この考え方を共有せずに進めてしまうと、高品質なデータを作っても、結果として使われないアーカイブになってしまいます。