メタバース
#業務効率化
メタバース会議とは?企業における導入検討の視点と活用の考え方

テレワークやオンライン会議が定着した一方で、「画面越しでは議論が深まりにくい」「参加者同士の関係性が築きにくい」といった違和感を抱いている企業・自治体も少なくありません。
こうした課題を背景に、従来のオンライン会議を補完する手段として注目されているのがメタバース会議です。ただし、「Zoomと何が違うのか」「本当に自組織の会議に必要なのか」と判断に迷う担当者も多いのが実情でしょう。
本記事では、「メタバース 会議」を検討する企業・自治体担当者に向けて、ZoomやTeamsなど既存のオンライン会議ツールとの違いを整理しつつ、どのような会議にメタバースが向いているのか、また導入を検討する前にどのような点を確認・整理しておくべきかを、具体的な観点から解説します。
1. メタバースとは?
メタバースとは、「メタ(超越)」と「ユニバース(世界)」を組み合わせた言葉で、インターネット上に構築された三次元の仮想空間を指します。ユーザーはアバターを通じて空間に参加し、他者と会話したり、情報を共有したりすることができます。
日本国内でもメタバースへの関心は高まっています。総務省が公表している「令和6年版 情報通信白書」では、メタバース市場についてStatistaの予測として、メタバース市場規模が2022年の461億ドルから2030年には5,078億ドルまで拡大する可能性が示されています。こうした見通しは、メタバースが一過性の話題ではなく、中長期でビジネス実装が進む領域として整理されていることを補足する材料になります。 (出典:総務省|令和6年版 情報通信白書)
メタバース会議は、この仮想空間を会議や打ち合わせの場として活用する形態です。従来のオンライン会議が「画面を通じて話す」形式であるのに対し、「同じ空間に集まって話す」体験を再現できる点が特徴です。
2. メタバース会議が注目される背景
日本では、テレワークやオンライン会議が一時的な対応ではなく、継続的な働き方として定着しつつあります。独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)の調査によれば、雇用者のうち過去1年間にテレワークを実施した人の割合は約24.8%とされており、出社とリモートを組み合わせた働き方が一定規模で続いていることがわかります。 (出典: JILPT)

一方で、総務省が公表している「令和5年版 情報通信白書」では、テレワーク導入企業の約34%が「社内コミュニケーション不足」や「情報共有の困難さ」を課題として挙げているという結果が示されています。これはオンライン中心のコミュニケーションにおいて、従来の対面と比べて反応や状況の把握が難しくなっている実態を反映しています。(出典:総務省|令和5年版 情報通信白書|データ集)
こうした背景から、単なる会議手段の置き換えではなく、場の共有や参加感を補完できる手法として、メタバース会議が注目されています。
3. 会議・ビジネスにメタバースを活用するメリット

ZoomやTeamsなどのオンライン会議ツールは、情報共有や意思決定を効率よく行う手段としてすでに広く普及しています。そのため、メタバース会議は、既存のオンライン会議を置き換えるものではありません。
むしろメタバース会議は、従来のオンライン会議では扱いづらかった「結論が定まっていない議論」や「関係性づくりを含む会議」を補完する手段として位置づけられます。以下では、その具体的なメリットを整理します。
3-1. 会議の「場」を連続的に扱える
Zoomなどのオンライン会議ツールにも、ブレイクアウトルームといった機能は備わっています。ただし、これらはあらかじめ区切られた「部屋」を切り替えて使う設計であり、参加者の動きや関係性が会議の流れとして可視化されるわけではありません。
一方、メタバース会議では、同一空間の中で参加者が自由に移動し、自然に集まり・離れることができます。全体の議論を聞きながら一部で小さな対話が生まれたり、関心の近い参加者同士がその場で集まったりと、会議の流れに応じて「場」が連続的に変化していく点が特徴です。
結論を急がずに論点を探る会議や、参加者の関心や立場が多様な場では、このように空間の中で議論の濃淡をつくれることが、話し合いの進めやすさにつながります。
3-2. 参加の温度差を前提にしたコミュニケーションができる
従来のオンライン会議では、全員が同じ熱量で参加することが暗黙の前提になりがちです。しかし実際の会議では、聞くことに専念したい参加者や、必要な場面でのみ発言したい参加者も存在します。
メタバース会議では、立ち位置や距離感によって参加の度合いを自然に表現できるため、無理に発言を求められることなく、それぞれの役割に応じた関わり方が可能になります。
3-3. 関係性づくりを含めた会議が行える
初対面の関係者や、部署・組織を横断した会議では、議題そのものよりも関係性の構築が重要になるケースも少なくありません。
オンライン会議では、映像や音声を通じた発言が主な参加手段となるため、人見知りの方や初対面の場に緊張を感じやすい方にとっては、会議に参加する心理的ハードルが高くなる場合があります。画面をオフにすると発言しづらくなり、結果として音声通話に近い感覚になることもあります。
一方、メタバース会議では、アバターとして空間に存在するだけでも参加感を示すことができ、移動やリアクション、チャットなど、発言以外の関わり方も用意されています。例えば、空間内を一緒に移動したり、簡単なゲームや共同体験を挟んだりすることで、自然な形でコミュニケーションが生まれる場をつくることも可能です。
また、メタバースならではの特徴として、会議の空間そのものを柔軟にデザインできる点も挙げられます。海の見えるオフィスや森の中をイメージした空間など、日常とは異なる雰囲気を演出することで、参加者の気持ちを切り替えやすくなり、発想や対話が広がるきっかけになる場合もあります。
こうした特性により、発言に慎重な方や対面でのコミュニケーションに負担を感じやすい方にとっても参加しやすい環境を設計できる点は、メタバース会議ならではの特徴といえます。同じ空間に集まり、同じ方向を見ながら話す体験は、画面越しのやり取りに比べて心理的な距離を縮めやすく、継続的な対話の土台づくりに寄与します。
4. 導入検討時につまずきやすいポイント
メタバース会議の導入を検討する際、多くの担当者が「本当に自分たちの会議に必要なのか」「既存のオンライン会議とどう使い分けるべきか」といった判断に迷います。特に、すでにZoomやTeamsなどのツールが定着している組織ほど、新たな手法を導入する必然性を説明しづらい傾向があります。
また、メタバースという言葉から、専用機材や高度なITスキルが必要なのではないかといった先入観を持たれやすい点も、検討を難しくする要因の一つです。実際にはPCやブラウザから利用できるサービスも増えていますが、「現場で使いこなせるか」「参加者に負担をかけないか」といった不安が先行しがちです。
さらに、会議の目的が曖昧なまま導入を検討すると、「結局どの会議で使えばよいのか分からない」「一度試したが定着しなかった」といった結果になりやすくなります。メタバース会議は万能な手段ではないため、定例報告や短時間の意思決定など、従来のオンライン会議の方が適している場面も少なくありません。
加えて、会議の進め方そのものが整理されていない場合、ツールを変えても課題は解消されにくいという点にも注意が必要です。「議論が発散する」「発言者が偏る」「結論や次のアクションが曖昧になる」といった問題は、会議設計の課題であり、メタバースを導入しただけで自動的に解決するものではありません。
こうした点を踏まえると、メタバース会議の検討にあたっては、ツールや空間の新しさから入るのではなく、「現在の会議で何が課題になっているのか」「どのような会議で、どのような変化を期待しているのか」を整理した上で、小規模に試していくことが重要になります。
5. メタバース会議の活用イメージ
現在、メタバース会議を日常的に運用している組織はまだ限定的ですが、検証的な活用を通じて可能性を探る動きは徐々に広がっています。特に、意見交換や構想検討、拠点横断の打ち合わせなど、「場の一体感」や「関係性づくり」が求められる会議での活用が検討されています。
5-1. メタバース会議がおすすめの企業・組織像
メタバース会議は、すべての会議や組織に適しているわけではありません。一方で、次のような課題意識を持つ企業・自治体では、検討の余地があるといえます。
例えば、オンライン会議が増えたことで、参加者同士の関係性が築きにくくなっていると感じている組織や、拠点や部署をまたいだ会議で一体感が生まれにくいと感じているケースです。また、新規事業や施策検討など、結論が決まっていないテーマを扱う会議が多く、議論の過程そのものを重視したい組織にも向いています。
加えて、初対面の参加者が多い会議や、多様な立場のメンバーが集まる場において、発言しやすさや参加のハードルを下げたいと考えている場合にも、メタバース会議は一つの選択肢になります。
5-2. 向いていないケースも踏まえた使い分け
一方で、定例報告や短時間での意思決定を目的とした会議など、効率性を最優先したい場面では、従来のオンライン会議ツールの方が適している場合もあります。
重要なのは、メタバース会議を特別なものとして扱うのではなく、自組織の会議の種類や目的に応じて、既存のオンライン会議と使い分ける視点を持つことです。他社事例をそのまま模倣するのではなく、自組織の会議文化や意思決定プロセスに照らして活用方法を考えることが求められます。
6. 壁打ち相談という選択肢:NOIMとは

ここまで、メタバース会議の特徴や向いているケース、導入時につまずきやすいポイントについて整理してきました。一方で、実際の検討現場では「自社の課題はこれに当てはまるのか」「今の状況で本当に導入を考えるべきなのか」といった、整理しきれない疑問が残ることも少なくありません。
リプロネクストでは、こうした検討段階での迷いや違和感を言語化するためのAIコミュニケーションアバター「NOIM(ノイム)」を開発・提供しています。NOIMは、明確な要件や結論が定まっていない状態でも、問いに答えていくことで、自分たちが抱えている課題や検討の軸を整理できる仕組みです。
「今こんな課題があるが、メタバースを検討すべきか迷っている」「いきなり相談するほどではないが、考えを整理したい」といった段階での壁打ち相手として活用いただけます。メタバース会議の導入を検討している方は、ぜひ一度、リプロネクスト公式サイトに搭載しているNOIMで対話してみてください。
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7. まとめ
メタバース会議は、オンライン会議が抱えるコミュニケーション課題を補完する手段として注目されています。一方で、導入にあたっては目的や課題の整理が欠かせません。
将来的には、音声のテキスト化による議事録作成や、会議進行を補助するAIアバターなど、AI技術と組み合わせた活用も構想段階として語られるようになっています。ただし、現時点では技術面・運用面ともに検証が必要な領域であり、すぐに実務へ本格導入できる段階には至っていません。
だからこそ、メタバース会議についても「何ができるか」から考えるのではなく、「自分たちの会議で、どのような課題を解決したいのか」「どのプロセスを見直したいのか」を整理することが重要になります。
メタバース会議の活用にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。検討段階での疑問や不安についても、ご相談を受け付けています。
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