
近年、多くの大学・専門学校が志願者数の減少という課題に直面しており、キャンパスの閉鎖や定員割れが起きています。
そんな中、志願者のおよそ90%はオープンキャンパスへ参加していると言われるように、学校の雰囲気をいかに伝えるかが重要で、さらに大切なのは「オープンキャンパスに行くほどの興味を持てていない潜在層に、どうやって魅力を伝えるか」ということです。
そこで今、注目を集めているのが「VRオープンキャンパス」。Webプロモーションの一環で、コロナ禍での新たな学校紹介の形として導入を検討する大学・専門学校が増えています。
この記事では、VRオープンキャンパスの導入メリット・デメリットのほか、活用事例や活用方法、制作費用などをまとめて紹介します。
目次
VRオープンキャンパスとは、360度パノラマ撮影されたキャンパスをオンライン上で見学してもらうコンテンツです。
実際に見学しているかのような疑似体験を届けられ、動画や写真よりも情報を立体的に伝えられることが魅力です。
また、オンライン上でキャンパス内を体験できるので、現地に行く際の交通費や移動時間も不要に。
つまり、対面型オープンキャンパスよりも参加ハードルを下げることができ、より多くの人に関心を持ってもらえるようになるのです。
さらに、密集を避けられるのでコロナ禍での感染リスク回避にも繋がります。
このような特徴や傾向から、Web上でキャンパスの雰囲気を届けられるVRオープンキャンパスのニーズが高まっているのです。
VRオープンキャンパスを導入するメリットは下記の4つです。
VRオープンキャンパスは、360度カメラで撮影して制作します。
360度自由に見渡せるコンテンツなので、動画や写真よりも空間を忠実に伝えられる点が魅力。
また、学校紹介動画などの視聴型コンテンツとは異なり、学生自身が見たい場所や見たい方向へと自由に動かせる体験型コンテンツなので、より印象にも残りやすくなります。
大学や専門学校は、近隣エリアだけでなく、全国各地や海外から入学者が集まるため、オープンキャンパスも遠方から参加を検討する方もいます。
ですが、参加にはお金(交通費)や時間(移動時間)がかかるため、志望度が下がるにつれて参加を断念する方も少なくありません。
その点、VRオープンキャンパスは、移動時間や滞在費用がかかりません。参加コストを大幅に削減できるので、遠方の方も気軽に参加でき、結果として多くの方へのアプローチが可能です。
対面型のオープンキャンパスは日程を決めて実施することがほとんどですが、VRオープンキャンパスはオンライン上で24時間365日公開することが可能です。
高校生が「もう一度キャンパスの雰囲気を知りたい!」と思った時に、いつでも、何回でも気軽にアクセスしてもらえるのです。
進路選択は、本人だけでなく、送り出す保護者や家族も関わっています。
ですが、全員で学校まで足を運んで雰囲気を確認するというのは難しいもの。
VRオープンキャンパスでは、URLを共有すれば各自のタイミングで学校の雰囲気を疑似体験できるので、気軽に情報を共有することができます。
メリットがある反面、オンラインだからこそのデメリットも生じます。
VRだけに言えることではないですが、Webコンテンツを導入するには制作時間・費用がかかります。
VRキャンパスツアーの場合は、企画/撮影/編集/公開の中で、専用カメラでの撮影や360度コンテンツの編集スキルが必要となるので、活用時期から逆算して依頼会社を探したり、予算を確保する必要があるでしょう。
内容にもよりますが、撮影から公開まで約一ヶ月かかるので、早めに動き出すことが大切です。
360度公開できることがメリットでもあり、デメリットにもなり得ることがあります。
撮影時には、
など、確認は必要でしょう。撮影前に登場人物を決めたり、人がいない時間帯での撮影など配慮する必要があります。
対面のオープンキャンパスだからこそ生まれていた、先生や学生との対話や、ふと目にした掲示物から興味のあるゼミを見つけるといった、現地ならではのきっかけが起こりにくいのはデメリットと言えます。
ですが、バーチャルツアーにも質疑応答コーナーを入れたり、学生・先生を登場させ、人の雰囲気も含めて学校の魅力を伝えることはできるので、コンテンツ設計でデメリットをカバーすることは可能です。
VRオープンキャンパスは、大きく分けて動画版と静止画版の二つの制作方法があります。
それぞれの特徴を踏まえてから、次の事例を見るとスムーズです。
360°動画版では、ストーリー性や企画力のあるVRキャンパスツアーを実現できるのが一番の魅力です。
見せたい箇所を絞ってコンテンツの構成を作ったり、視聴者には動画の流れに沿った形で見てもらうことができるので、伝えたいことを効果的に届けたい場合や、オリジナリティを出したい場合におすすめです。
Googleストリートビューのようなウォークスルー機能を兼ねているのが360°静止画版です。ユーザーは見たい部分をじっくり見ることができたり、まるで施設内を歩き回っているかのような体験ができます。
また、動画や写真、テキスト、ビデオ通話機能などのオプションもあるため、Googleストリートビューとは一味違う使い方が可能。クイズやBGMなどを埋め込んで、楽しめる要素を追加することもできます。
一方、閲覧箇所はユーザーが決めるため、訴求したいポイントが明確な場合や、流れに沿った見せ方を行いたい場合には動画タイプがオススメです。
それでは、実際にVRオープンキャンパスを活用している事例を見てみましょう。
VR動画を活用したバーチャルツアーと、静止画タイプのVRオープンキャンパスの2パターンに分けて紹介していきます。
こちらは、弊社リプロネクストがBSN新潟放送様との協業で制作した、長岡工業高等専門学校(以下長岡高専)のVRキャンパスツアーです。
県内外から入学を検討する高校生はもちろん、地域住民の方にも学校を知ってもらいたいと今回ご依頼いただきました。
VR動画の特徴を活かせるよう、案内役の先生方に動きをつけて見る人の視線を誘導したり、ポップなBGM・テロップで親近感のある雰囲気に仕上げています。
このコンテンツは、長岡高専ホームページにて公開されています。
VRを視聴しながら進学アドバイザーがキャンパスの説明をすると同時に、スクリーンに映像を映し出すことで、VRゴーグルを装着していない人も一緒に説明を受けることができます。
各地での進学相談会にキャンパスを持ち運ぶことはできませんが、VRで伝えることで具体的にイメージしてもらいながら、その場で質疑応答ができるのはハイブリッドならではの魅力です。
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実際に専門学校に通う学生さんが校内を紹介するというもので、まるで先輩が目の前で案内してくれているような臨場感があります。
学びの特徴に加え、学校生活の雰囲気がリアルに伝わってくる構成です。
学校見学をしている等身大の目線で、ロビーや各学科の教室などが網羅的に紹介されているので、学校全体の様子がよくわかります。
こちらは、リプロネクストが制作した「新潟大学 バーチャルキャンパスツアー」です。
コロナ禍により新潟大学では、2020年度からオープンキャンパスを完全非対面・オンラインで実施。2021年度は在学生と一緒にキャンパスを巡っている気分を味わえるVR動画を制作しました。
構内はどんな雰囲気なのか、広さはどのくらいかなどをリアルに伝えられるのはVRの強みですね。
※コンテンツはオンラインオープンキャンパス開催期間に、事前登録をした方のみが閲覧できる形で公開されました。
映像では各フロアの紹介が表示されるので、フロアの場所や、そこでどういったことを学ぶのか詳しく知ることができます。
また、寮の紹介ではモデルルームを見ることもでき、入学前にチェックすることで安心感が生まれます。
新潟県新発田市にある、厚生労働省所管の工科系短期大学校「新潟職業能力開発短期大学校」のバーチャルキャンパスツアーです。リプロネクストで制作を担当しました。
コロナ禍で、現地でのオープンキャンパスの実施が困難となる中、入学検討者の方々に自宅にいながら学校の雰囲気を届けたいということでご依頼いただきました。
バーチャルキャンパスツアーはホームページトップに掲載されており、ホームページ訪問者に向けて訴求しています。
「東京海洋大学」のバーチャルキャンパスツアーです。こちらもリプロネクストで制作を担当しています。
コロナ禍で留学生をオープンキャンパスに迎えることができなくなったため、導入いただきました。
制作当初は留学生向けのものでしたが、国内の入学検討者の方にも見てもらえるようにと、ホームページにバナーが掲載されています。
ここでは品川キャンパスのバーチャルキャンパスツアーを掲載していますが、下記の事例紹介ページや大学ホームページからは越中島キャンパスも体験できます。
東京・武蔵野にある「電気通信大学」のキャンパスツアーです。
キャンパスの入り口からスタートし、左上には校舎マップが表示されているので、気になるところにすぐ移動できます。
「ロボメカ工房」では学生の学びの様子が見られたり、学生宿舎の個室やシェアキッチンまで公開されているので、学生生活をより具体的にイメージできます。
「早稲田大学」もVRツアーを導入しています。
早稲田大学では、4つのキャンパスごとにVRツアーを公開。見たいキャンパス名をクリックするとVRツアーが始まります。
それぞれのVRツアーに音声ガイドがついており、案内を聞きながらオープンキャンパスを楽しめます。
説明を受けながら校内を見て回れるので、実際にオープンキャンパスに参加している感覚で体験できますね。
VRオープンキャンパスは、様々な活用方法があります。ここでは、4つの活用方法をご紹介します。
ホームページにコンテンツを埋め込むことで、関心を持ってアクセスしたユーザーにバーチャルツアーを体験してもらうことができます。
最近は、SNSやWebサイトにて情報収集し、その後に参加するオープンキャンパスや学校説明会を絞る傾向にあります。この流れから、ホームページ来訪者にキャンパスツアーを見てもらうことは他校と差別化もでき、次の検討段階へアプローチしやすくなります。
対面型の出張説明会やイベントで、VRオープンキャンパスを体験してもらえます。
VRゴーグルはMeta Quest 2のような本格的なヘッドマウントディスプレイの他、簡易的な段ボールVRゴーグルもあり、配布用にもおすすめです。
弊社リプロネクストの段ボールVRゴーグルは、オリジナルプリントを施したり形状変更も可能なので、ユニークなノベルティとして印象付ける同時に、自宅に帰ってからもバーチャルツアーを体験いただけます。
資料とともにダンボールVRゴーグルを送付し、VRオープンキャンパスを自宅で体験してもらうことも可能です。
VRゴーグルを制作している会社はたくさんあります。おすすめのVRゴーグル制作会社を記事でまとめていますので、ぜひそちらもご覧ください。
VRオープンキャンパスはWeb広告に活用できます。
SNSを活用すれば気軽にシェアも可能に。現在、FacebookやYouTubeはVR動画に対応しています。
SNSや動画サイトを組み合わせて発信すると、潜在層への訴求力が高まるでしょう。
ここでは、リプロネクストで制作した場合のVRオープンキャンパスの導入費用を紹介します。
動画と静止画で費用が異なるので、先ほど紹介した事例を見ながらチェックしてください。
初期費用(撮影+編集+公開)は440,000円~です。
初期費用(撮影+編集+公開)は220,000円~、月額費用は3,300円~となります。
動画や写真の埋め込み、ビデオ通話機能なども追加で可能です。
いずれも、大学構内の広さや撮影範囲によって費用は変動しますので、詳しくはこちらからお問い合わせください。
最後に、VRオープンキャンパスの制作の流れを紹介します。
VRオープンキャンパスを検討している理由や訴求したい内容、撮影予定の空間についてお伺いします。お打ち合わせはオンラインで全国対応をしています。
ヒアリングの内容から、VRオープンキャンパスの構成をプランニングします。
こちらで企画書やイメージを具体的にご提案させていただきます。
当日は撮影前に、撮影する場所・順番を確認します。事前に決めている場合はそのまま進めていきますが、キャンパス内にはたくさんの教室があり、時間帯によっては撮影不可の教室も。
スムーズに撮影が進むようにスケジュールを組んで撮影を進めます。
撮影した映像を、制作経験豊富なスタッフが編集いたします。必要に応じて動画や画像、テキストを入れます。
最後に、納品・公開となります。
納品方法は、ご要望に合わせて最適な方法をご案内いたします。
また、ご希望があれば公開後の広告配信のサポートや、ランディングページの制作もさせていただきます。
静止画タイプ(ウォークスルー)のVRオープンキャンパスに類似しているものとして、Googleストリートビューを活用したVRオープンキャンパスもあります。
Googleストリートビューも、一度制作すれば半永久的に使用が可能です。
さらにGoogleストリートビューはホームページへの埋め込みができるほか、Googleマップ上にも公開されるので、Googleマップからの検索ユーザーにも見てもらうことができるメリットがあります。
今回はVRオープンキャンパスを導入するメリット・デメリットと導入事例、活用方法をまとめてご紹介しました。
学生は、進学先を検討する際に、学校のリアルな情報を求めています。
VRオープンキャンパスを活用することにより、大学・専門学校のリアルを全国・海外から気軽に体感してもらえます。
いつでも、どこからでも学校にアクセスできるVRオープンキャンパスは、コロナ禍はもちろん、その後も学校の魅力を届ける選択肢の一つとなるでしょう。
弊社では、大学・専門学校のVRオープンキャンパス(動画・静止画)の企画・制作を行っています。
「納期や費用が知りたい」「学校の魅力が伝わるコンテンツを依頼したい」などご相談や疑問点がございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。