石本商店に学ぶ発信力と愛され力【STORYを届ける理由は】
こんにちは! たかはし(@stakahashi_ln)です。私はリプロネクストの広報・メディア担当として会社の情報発信を行っていますが、この正解のない”広報”の仕事をする中で、様々な企業やお店の日々の”発信”から発見や学びをもらっています。
2020年もあと残りわずかとなりましたが、この”発信”という点で今年、私がとても…! 気になっていたお店があります。それは7月に新潟市・亀田にオープンした「カレーとごまどうふの店 石本商店」さん。
ごま豆腐屋の旦那さま(@fumiya_oshima)と元アナウンサーの奥さま(@_im52)が始めたスパイスカレーのお店です。
丁寧に仕込まれたごま豆腐とカレーがすでに多くの心を掴んでいますが、もう一つ注目すべきはその発信力と愛され力。オープン前に開設したInstagramのフォロワー数は6,327人(2020年12月21日時点)に及び、テレビ・雑誌・新聞とメディアも大注目のお店なのです。
そんな石本商店さんに“発信”をテーマにお話が聞きたい! ということで、込められた想いについて広報担当の奥さま・こずえさんにインタビューしてきました。
石本商店について
2020年7月オープン。祖父母が営む「石本商店」を継承し、ごま豆腐の製造販売を行うふみやさんと、アナウンサーのこずえさんが「ふたりでお店をはじめよう!」と共通の好物であるカレーのお店をはじめる。いつ来ても新しい味を楽しんでもらえるようにとカレーは週替わりで提供。石本商店のごま豆腐「ごまうふふ」を使ったデザートとのセットメニューが好評。日曜の夜は、ゆったりとお酒とおしゃべりを楽しむバー営業も。
住所:新潟県新潟市江南区袋津2-3-11
営業日:木・金・土・日(11:00〜完売)
駐車場:4台
オープン前からSNSで紡ぐ。石本商店ストーリー
たかはし
やっと、石本商店さんにお伺いすることができました…! オープン前からSNSで情報発信をされていたと思いますが、実は私もその頃から見ていたんです。 なので、やっと、やっとこの日が来たという感じです(笑)
こずえさん
ありがとうございます! お店のInstagramは2月から始めて、オープンまではカレー屋さんになるまでの道のりを日々発信していました。
記念すべき初投稿はこちら…!
たかはし
今ではフォロワーも6,000人越えですよね…! SNSからの反響というのも日々大きくなっていますか?
こずえさん
そうですね! ありがたいことに、初来店のお客様はSNSを見て来たと言ってくださる方が8割くらいを占めています。
たかはし
8割も…! SNSでのフォロワーさんの反応を拝見すると、オープンから約半年とは思えないほどすでに沢山のファンの方がいらっしゃいますよね! お店を始めようと決めたのは、ちょうど一年前ほどでしょうか?
こずえさん
2019年の11月頃に「ふたりでお店をやってみよう!」と決心して。そこから共通の大好物であるカレーでお店を出すことに決め、12月・1月はカレー屋さん巡りと試作をしながら研究の日々でした。カレーは突き詰めようとするほど、沼のように奥深く難しくなっていき…苦戦しながらも”私たちが作るカレー”というものを形にしていきました。80点を一つの合格ラインにして「ん〜これは53点だね!」みたいなやりとりをしながら…(笑)
たかはし
研究を重ねに重ねて、味を追求していったんですね! そして研究過程も含めて、オープン前からSNSで発信しているのがとても印象的で。 そうした情報発信含め、ブランディング的な部分もおふたりで話し合われたんですか?
こずえさん
そうですね。今、発信担当として中心となっているのは私ですが、夫がブランディング部分をしっかりと考えていて。「お店ができるまでの過程も全部見せていこう」というところから、私たちの発信スタイルが決まりました。参考として色々なカフェやカレー屋さんのインスタを研究したのですが、オープン前から過程を載せているところってあんまりなくて。なので私たちはそこからやってみよう!と。
たかはし
そうなんですよね! オープン前から発信されているのはかなり新鮮でした。
こずえさん
SNSの使い方会議みたいなこともやりました! インスタは女性ユーザーが多いので、世界観を作り込んで、雰囲気をしっかり伝えたいねとか。今はストップしちゃってるんですが、noteもやっていて、そっちはログとして私たちの想いを残していこうというような使い分けをしています。
たかはし
Instagramを見ると、写真がとても素敵で世界観が伝わってきます…! おふたりをモチーフにしたアイコンのキャラクターも、とてもかわいらしくてキャッチーで!
▼石本商店Instagramのアイコン
こずえさん
このキャラクターも発信前から知人のイラストレーターさんにお願いして、作ってもらいました。お店を始めるにあたって、美味しいカレーをお客様に届けるのは大前提。プラスして人も空間も好きになってもらえたら、愛されるお店になるんじゃないかな、と。そこで私たち自身のことも知ってもらいたいと思い、こんな風に発信していくことにしたんです。飲食店経験者でもなく、ごま豆腐屋とアナウンサーがカレー屋になるという異色の経歴なので(笑) 私たちにも興味を持ってもらえたらなと。
たかはし
私も石本商店さんに興味を持ったきっかけを考えると、新しいカレー屋さんができる! という部分より、それぞれ全く異なるお仕事をされていたお二人がご夫婦となり、イチからカレー屋さんを作っていくというストーリーにグッと引き寄せられたのだと思います!
お店作りを”自分ゴト”にしてもらいたい
たかはし
オープン前からキッチンカーやショッピングモールで出店をされていましたが、これも「お店を知ってもらう」という意味で”発信”の一つのアイデアだったのでしょうか?
こずえさん
オープン前にお客様に実際にカレーを食べてもらい、反応が知りたい! というところが大きかったです。初心者のふたりなのでまずは食べていただき、オープンに向けてブラッシュアップできたらと思いました。当初は4月からオープンまで月イチで販売できれば安心かなと思っていたのですが、3月に新潟県庁でカレーを提供した際に、好評をいただいて。これがきっかけで5,6月はキッチンカーの営業で大忙しでした。これが多くの方に、事前に知っていただける機会になったと思っています。
たかはし
そうだったのですね…! SNSでの発信を見てキッチンカーに買いに来る方もいらっしゃったんですか?
こずえさん
はい!販売を重ねるごとにそういった方も増えていき、本当に嬉しくて励まされました!
たかはし
発信が届いたと実感できるのは嬉しいですね。キッチンカーで販売をしながら、お店のオープン準備も進めていかれたんですね。
こずえさん
作戦会議をしながら、空間のイメージやメニュー設計など考えていきました。メニューはお客さんに楽しんでもらえるように週替わりにしようか、とか。そしてこうした一つひとつの動きを日々Instagramに投稿しましたね。
お店ができるということを皆さんにも”自分ゴト”に感じてもらえたらなぁと思って。
たかはし
自分ゴトにするって、ファン作りの上で本当に大切なことだなと思います。日々の一つひとつの発信が、心と心を繋いでいったんですね。
前職の経験が生きる、こずえさんが紡ぐ言葉
たかはし
投稿を読んでいると、こずえさんの言葉ってとても読みやすくて自然体で、想いが伝わってきます。発信の際に心がけていることってありますか?
こずえさん
そうですね…。人の心が動く瞬間は、人の心を知ったときだと思うんです。なので単なる情報ではなく、そこに宿る気持ちや感情を大切にしています。私たちで言えば、おばあちゃんのお店を受け継いだことやおじいちゃんのごま豆腐を継いでいることなど、お店のバックグラウンドなどもしっかりと届けていきたいと思っているんです。これはアナウンサー時代から心がけている部分ですね。
たかはし
想いこそが共感を生むものだと私自身も感じます。そして、こずえさんの言葉が心に響く理由もわかりました!
こずえさん
女性は特に、共感を大切にしていると思うんです。なので、お店のことだけでなく私たち夫婦のありのままの姿も発信したりしています。結構そっちの方が、多くの反響をいただいています(笑)
たかはし
まさに、先日の投稿も「わかる〜!」と思いながらいいねを押していました(笑)そういうエピソードを知ることでおふたりをより身近に感じられたりもして。ふみやさんもそこは問題なくOKなんですか?
こずえさん
夫は恥ずかしいからということで、インスタを見ないようにしています(笑)
たかはし
たかはし
少し先ほどの話にも繋がりますが、アナウンサーというお仕事が現在の”発信”で生きていると感じることはありますか?
こずえさん
栃木でアナウンサーとして働いていた時、ディレクションも兼務していた時期があって。その時は大変で心が折れそうになっていたのですが、この経験から起承転結で伝えることの大切さを学びましたね。あとは中継で自分の言葉で伝えるシーンがあるので、伝えるべき情報とそうでないものの取捨選択は今にも生きているなと感じることがあります。
たかはし
なるほど…! 一つひとつの言葉が丁寧なのに加えて、伝わりやすさはそういった部分からも表現されているんですね!
見えなかった反応が、ダイレクトに感じられるという喜び
たかはし
発信をしていて、何か思い出深いエピソードはありますか?
こずえさん
一番嬉しかったのはオープン初日に来てくれた若いカップルの男性が
「こずさんのインスタで人生が変わりました」と伝えにきてくれたことです。以前、インスタでこれまでの人生を振り返りながら「自分の中で、キラキラしていたのはいつですか?」と問いかけたことがあって。
私は学生時代のチアリーディングでの日々をピークにキラキラを失っていたんです。でも、夫と出会い、そして今の毎日に私はキラキラを取り戻した感覚があって想いを綴りました。その投稿が男性の一歩を踏み出すきっかけになったようで、報告をしに来てくれたのです。よく考えたらアナウンサーを目指した理由も誰かを元気付けたり、何かきっかけを作ることができたらという想いからだったので。私の言葉がいい方向に動いてくれたことが嬉しくてたまりませんでしたね!
たかはし
こずえさんの本質的な夢が叶っていて、素敵なエピソードですね。しかも、オープン日に報告に来てくれるなんて感激ですね!
こずえさん
アナウンサー時代はダイレクトに反響を感じるって中々難しい部分で。その点で言うと、今はSNSやお店を通じて直接コメントやメッセージをもらえるので、とても嬉しいです。目に見えるという喜びを今年はたくさん実感しましたね。
感情を言語化することが、発信のモチベーションに
たかはし
お忙しい中で、日々投稿を継続するって結構大変だと思うんです…。それでも続けられるモチベーションってどこにあるんでしょうか?
こずえさん
誰かのためにやっていると思うと難しいんですが、私は日々自分自身へ投稿しているので、こうして続けられています。SNSは気持ちの整理の場所というか…感情に輪郭をつけるような気持ちで、自己分析・自己整理のツールとして綴っている部分が大きいんです(笑)
たかはし
なるほど…! そこに共感が生まれ、リアクションが生まれ…見てくれている方の存在も同時にモチベーションに繋がっていくわけですね!
こずえさん
そうです!見てくださる方がいるので、毎日楽しく投稿させてもらっています。この内容は伸びなかったな、こんな内容はたくさんの人に共感してもらえるんだなとか、いいね数も細かくチェックしています。見てもらうという部分では、発信の中に「お店に行きたい」と思ってもらうエッセンスを盛り込むことも大切にしていますね。ちょっとしたことですけど「今日はこんなお花を飾っています」「レジ前の雑貨に、仕掛けがあるんです」とか。
たかはし
レジ前の仕掛けの投稿、見ました! そういう遊び心も、発信する上で大切ですよね!数値的な部分では、目標を決めていたりするんでしょうか?
こずえさん
数字としては、Instagramを1万フォロワーにすることが目標です。ここまでいけたら、アカウントとして影響力のあるものにしていけるんじゃないかなと。夫のエピソードが人気なので、今後も情報発信できたらと思います(笑)
色んな人を巻き込んで、”ワクワク”を作っていきたい
たかはし
SNSでの発信を中心にお話を伺ってきましたが、石本商店さんといえばインターン生と企画を行ったり、間借りイベントを開催したり、通常営業以外にも様々な取り組みをされていますよね?
こずえさん
そうですね。せっかくお店をやっているので多くの人を巻き込みながら、関わり合っていきたいと思っています。普段お店にきてくれている人にも楽しんでもらいたいですし、イベントをきっかけに私たちのお店を知ってもらったり、お互い良い関係で繋がりが連鎖していくような企画はどんどんやっていきたいです。「石本商店ってなんかいつも面白いことをやっているよね」という雰囲気を届けていきたいですね!
たかはし
そのムードは日頃の発信から伝わってきます! さらに現在、ZINEやレトルトカレーも制作中ですよね。本当に、行動力がすごい…!
こずえさん
お店と商品があると、本当に色々と遊べるんですよ(笑)なので、やってみたいという心のワクワクを優先して色んなことに挑戦しています。まずは自分たちが楽しむというマインドを大切に、お店作りを楽しんでいきたいと思います!
たかはし
そんなおふたりが作るお店だからこうして人が集まってくるんだなぁと思います! 最後に、今後どんなお店を作っていきたいか聞かせていただけますか?
こずえさん
そうですね。お客様の「石本商店に行きたい! 」という理由をどんどん増やしていきたいなと思っています。「カレーが美味しいからまた行きたい」はもちろん目指すところですし、「今週はどんなカレーが楽しめるかな」で週替わりのカレーを提供しているように、お店に来てもらうのが楽しくなるような理由をどんどんと増やしていきたいですね!
たかはし
一年後、三年後と「石本商店」がどんなカタチに進化していくのかとっても楽しみです…! 今日は本当にありがとうございました!
まとめ:「最強のふたり」が作る石本商店に今後も目が離せない
Instagramから石本商店さんの存在を知り、今回”発信”を中心にお話をお伺いさせていただきましたが、発信の中に込められた想いに芯があるからこそ、多くの人の心を掴んでいるんだなとお話を伺いながら改めて感じました。
カレーへの愛、地域への愛、お店への愛、そして家族の愛と愛情が溢れる石本商店さん。職人肌で企画が得意なふみやさんと、紡ぐ言葉で心を動かすこずえさん。
そんなお二人に会いに、是非皆さんも石本商店さんへ足を運んでみてください。新潟の寒さを吹き飛ばすような心温まる一皿と共に、迎えてくれるはずです。
「最強のふたり」が作る石本商店に今後も目が離せません…!
たかはし
広報・メディア
2020年4月入社。大学卒業後にUターンし、地方誌編集、企業広報を経て現在に至る。人の心を動かし、寄り添える広報を目指し奮闘中。お酒と新潟と音楽が好き。